たこつぼ心筋障害の多施設多数例検討:臨床的特性とCMR所見

肺血栓塞栓症とともに、信濃の時には随分騒がれたのに、今回は、原発事故の陰のせいなのか、あまりさわがれない”たこつぼ型心筋障害”

民放の被災地救急の話題で心筋梗塞が増加などと報道されてた気がするけど・・・


Stress cardiomyopathy (SC) はストレスフルなイベントを引き金とした急性の心不全で、特徴的な左室収縮パターンを示す疾患で、単施設小規模でしか記載されてなかった。

今回の報告は、北米・ヨーロッパの7つの3次救急センターでの2005年1月から2010年10月まで256名のSC症例に関する報告で、左室機能障害完全回復までどの程度かかるか検討を主目的とした報告

Clinical Characteristics and Cardiovascular Magnetic Resonance Findings in Stress (Takotsubo) Cardiomyopathy
Ingo Eitel et. al.
JAMA. 2011;306(3):277-286.
doi:10.1001/jama.2011.992




81%(n=207)が閉経後女性、8%(n=20)が50歳以下の比較的若年女性、11%(n=29)が男性。
ストレスフルな引き金は182名(71%)で同定。
心MRIデータ(239[93%]データあり)は4つの特徴的パターンの部分的心室バルーニングを示す
・apical (n = 197 [82%])
・biventricular (n = 81 [34%])
・midventricular (n = 40 [17%])
・basal (n = 2 [1%])
全例左室駆出率減少 (48% [SD, 11%]; 95% 信頼区間 [CI], 47%-50%)

ストレス心筋症は、特異的クライテリアによるCMRで正確に同定可能
・左室機能障害、心筋浮腫が特徴的パターン
・重大な壊死・線維化がない
・心筋炎症マーカー

全患者で、CMR画像検査フォローアップで、完全性左室駆出率 (66% [SD, 7%]; 95% CI, 64%-68%) と有意な線維化のない炎症性マーカー正常化をしめした。


”心筋SPECTにおいて,亜急性期には壁運動異常部位に一致して灌流低下が認められ,慢性期に灌流は回復した.Gd-DTPA遅延造影心臓MRIにおいて,亜急性期には壁運動異常部位を中心に全層性に淡い高信号を認めた.慢性期には,遅延造影での淡い高信号は徐々に消褪傾向を示した.このMRI所見はたこつぼ型心筋障害の病理学的な変化”(呼吸と循環 I 55巻12号(2007.12)P.1369-1374

たこつぼ心筋障害の多施設多数例検討:臨床的特性とCMR所見_a0007242_9132189.jpg

おおざっぱに言えば、T1強調で白く見えるのはは”脂肪”、T2強調では”水”だから、亜急性期のT2強調で高信号は炎症所見のところ

by internalmedicine | 2011-07-27 08:45 | 動脈硬化/循環器  

<< 大うつエピソード国際的疫学調査... 自己免疫性膵炎 MRI:MR胆... >>