大うつエピソード国際的疫学調査:高所得ほど高いが、日本は例外 日本だけの特徴も!

WHOの仕事らしいが、大うつエピソード:major depressive episode (MDE)調査。
Cross-national epidemiology of DSM-IV major depressive episode
Evelyn Bromet et. al.
BMC Medicine 2011, 9:90doi:10.1186/1741-7015-9-90
(pdf)


WHO推定では1億2100万人が罹患
所得の多い10ヶ国調査では、15%近くが生涯に一回でもうつとなる
中所得国では11%程度

米国は2番目に生涯うつ比率が高い国で、フランスは21%で最多。
日本、ドイツ、イタリア、イスラエルは最小比率国で7%程度

ブラジルは全体的に比率が高く、10%程度がうつ
低所得・中等所得国では、中国 6.5%、メキシコ 8%。ブラジルのみが異常。
L.A. times



論文本文を読むと・・・
・日本は、”教育レベルが低いほどMDEリスクは低い” この現象は中国と同じ、だが、一般的な国ではみられない特徴である。
・MDEリスクと離婚が、異常なほど関連性があるのも日本の最も大きな特徴。また、婚姻状況との関連もレバノンに次ぎ影響がある。
・“機能障害が多いほどMDEリスク増加するが、日本は例外t的なほどその関連性が低い” ・・・ これは救いか? 心理身体的障害に起因するMDEは国際的には少ない。




日本は、”大うつエピソード”は先進国の中でも最も少ない方、でも、自殺は最大級


となると、・・・自殺とうつ罹病率に乖離がある。


日本での自殺対策は、かならずしも”うつ対策”と同一ではない・・・という話になる。


もう一つ、個人的な興味だが・・・NHKや一部精神科の医師たちは日本のうつ病過小診断は開業医のせいとのたまっていたが、この報告をつかってそのように結びつけるのだろうか?

もともとうつ罹病率が日本はすくなかったのか?今回の調査に問題があり、サンプル抽出による虚像というのだろうか?


NHKの うつ番組・・・2009年 02月 23日
プライマリケアでのうつ診断は即断するな!2009年 08月 21日

by internalmedicine | 2011-07-27 09:07 | 精神・認知  

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