多嚢胞性卵巣症候群:PCOS 不安・うつ システマティック・レビュー・メタアナリシス

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の兆候(体重増加、月経不規則、にきび、過剰な毛髪成長  )を早期発見し、
男性ホルモン異常を早期発見し将来の不妊を予防しよう・・・という報告(Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 8月号)
が出るらしい。


PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)では、高アンドロジェン、chronic oligo-anovulationとともに、50%ほどに肥満関与し、肥満になりやすい人がいる。インスリンはゴナドトロピン作用を有し、卵巣組織でのインスリン利用の増加がアンドロジェン合成作用を促進する。肥満、特に、腹部肥満型は、インスリン抵抗性・高インスリン血症を有する。肥満関連高インスリン血症が高アンドロジェン状態に悪影響を及ぼす。PCOSのうつがインスリン抵抗性と関連している可能性が述べられている(http://pcos.insulitelabs.com/PCOS-and-Emotional-or-Mental-Disorders.php)。


PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の女性は、非PCOS女性に比べ、不安・うつともに、軽度罹患しやすい。BMI少ないPCOS女性は、有意に不安、うつスコアは少ない。このことは、BMI減少が不安・うつ減少させる可能性を示唆。
BMIコントロールすること、抗アンドロゲン作用薬剤ための薬物層別化、対照群から多のう胞性卵巣を除外するなどで研究が必要。

Anxiety and depression in polycystic ovary syndrome: a systematic review and meta-analysis
Hum. Reprod. (2011) doi: 10.1093/humrep/der197 First published online: July 1, 2011



多嚢胞性卵巣症候群(Polycystic Ovary Syndrome)(http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6009-185.pdf)
(日本産科婦人科学会 生殖・内分泌委員会,2007)
Ⅰ.月経異常
Ⅱ.多嚢胞性卵巣
Ⅲ.血中男性ホルモン高値 または LH基礎値高値かつFSH基礎値正常
注1) Ⅰ~Ⅲの全てを満たす場合を多嚢胞性卵巣症候群とする.

注2) 月経異常は無月経,稀発月経,無排卵周期症のいずれかとする.多嚢胞性卵巣は,超音波断層検査で両側卵巣に多数の小卵胞がみられ,少なくとも一方の卵巣で2~ 9mmの小卵胞が10個以上存在するものとする.

注3)内分泌検査は,排卵誘発薬や女性ホルモン薬を投与していない時期に.1cm以上の卵胞が存在しないことを確認のうえで行う.また,月経または消退出血から10日目までの時期は高LHの検出率が低い事に留意する.

注4)男性ホルモン高値は,テストステロン,遊離テストステロンまたはアンドロステンジオンのいずれかを用い,各測定系の正常範囲上限を超えるものとする.

注5)LH高値の判定は,スパック― Sによる測定ではLH≧ 7mIU/ml(正常女性の平均値+1× 標準偏差)かつ LH ≧ FSHとし,肥満例(BMI≧ 25)ではLH ≧ FSHのみでも可とする.他の測定系による測定値は,スパック― Sとの相違を考慮して判定する.

注6)クッシング症候群,副腎酵素異常,体重減少性無月経の回復期など,本症候群と類似の病態を示すものを除外する.



子宮頚癌ワクチンも大事なのだろうが、こちらのきわめてまれというものではない疾患は、不妊のみならず、肥満、インスリン抵抗性関連病態、そして、うつなどの情緒的疾患とも関係している。
小学校中・高学年程度からの系統的取り組みが必要なのでは?

by internalmedicine | 2011-08-01 15:16 | 精神・認知  

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