ACP/ACCP/ATS/ERS公式ステートメント 安定COPD診断・管理

Methods: このガイドラインは、2007年3月から2009年12月のアップデートされた文献に基づき、2007年ACPガイドラインアップデートを目標としたもの

American College of Physicians (ACP), American College of Chest Physicians (ACCP), American Thoracic Society (ATS), European Respiratory Society (ERS)の公式ステートメント

Diagnosis and Management of Stable Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Clinical Practice Guideline Update from the American College of Physicians, American College of Chest Physicians, American Thoracic Society, and European Respiratory Society
Ann Int Med. August 2, 2011 vol. 155 no. 3 179-191

Recommendation 1: ACP, ACCP, ATS,ERSは、呼吸器症状を有する患者の気道閉塞診断のためスパイロメトリーをしなければならない(Grade :強、moderate-quality)と推奨。
スパイロメトリーは呼吸器症状のない対象者の気道閉塞検診のため用いてはならない(Grade: 強、moderate-quality evidence)

Recommendation 2: 呼吸器症状ありで、かつ、予測FEV1 60%-80%の安定COPD患者においては、ACP, ACCP, ATS,ERSは吸入気管支拡張剤を使用を推奨 (Grade ;弱Grade , low-quality evidence)

Recommendation 3: 呼吸器症状ありで、かつ、予測FEV1 60%未満の安定COPD患者においては、ACP, ACCP, ATS,ERSは吸入気管支拡張剤治療を推奨  (Grade: 強, moderate-quality evidence)

Recommendation 4: 呼吸器症状有りのCOPD、かつ、予測FEV1 60%未満に対しては、ACP, ACCP, ATS, ERSは、長時間持続型抗コリン剤、もしくは、長時間持続型βアゴニスト(LABA)処方を臨床医が行うことを推奨する。 (Grade: 強, moderate-quality evidence)。 臨床医は患者の好み、コスト、副作用特性に基づき特異的な単剤治療を推奨すべき。 

Recommendation 5: 安定COPD、かつ、予測FEV1 60%未満に対し、吸入治療(長時間持続型抗コリン座、LABA、吸入ステロイド(ICS))の併用もあり得ると、ACP, ACCP, ATS, ERSは推奨  (Grade: 弱n, moderate-quality evidence).

Recommendation 6: 臨床医は、予測FEV1 50%未満の有症状患者では呼吸リハビリテーションを処方しなければならないとACP, ACCP, ATS, ERSは推奨  (Grade: 強, moderate-quality evidence)
臨床医は、予測FEV1 50%超であった患者で、有症状、もしくは運動制限のある患者に対し、呼吸リハビリテーションを考慮する (Grade: 弱, moderate-quality evidence)

Recommendation 7: 臨床医は、重症名安静時低酸素血症Pao2 ≤55 mm Hg or Spo2 ≤88)を有するCOPD患者では持続酸素療法処方すべきとACP, ACCP, ATS, ERSは推奨 (Grade: 強, moderate-quality evidence).





私の注目点は・・・
・ 無症状対象者に対してスパイロメトリーをするな! ・・・ 人間ドックや検診でスパイロメトリー勧めたり、厚労省でへんな画策してること完全否定!
(【若年軽症・中等症COPD】 無症状の場合一秒率低下だけでは予後推定できない 2009年 08月 25日

・ 重症COPDへの呼吸リハビリテーション必須!
・LAMA・LABAの立場はまだこれから流動的だろうが、現時点では、なるべく単剤使用を推奨しているような文面。



"スパイロメトリーではCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の診断が可能なのですが、まだまだ診断率が悪く、25~50%の患者が病気を自覚していないという危険性があり、気付いた時には手遅れになっている可能性もある病気なのです。"と脅して、無症状者まで対象にスパイロ検診を押しつけるやり方は既に、欧米の呼吸器系学会合同ガイドラインに違反する行為ということになる!

e.g.) http://hai-navi.opal.ne.jp/kitsuen/kensa.html

by internalmedicine | 2011-08-02 08:08 | 呼吸器系  

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