高齢者に対する三環系抗うつ薬を凌駕する副作用の懸念:新規抗うつ薬 デジレル、リフレックスなど

高齢者に対して、うつが関与しているから、即、抗うつ薬・・・って、やり方はやはり問題がある。特に、陽性症状のBPSDに対して、リフレックス・レメロンなど宣伝されてるようだが・・・

この論文も、日常臨床に影響を与える報告であり、製薬会社から、しかるべき情報伝達が必要だろう。


Antidepressant use and risk of adverse outcomes in older people: population based cohort study
BMJ 2011; 343:d4551 doi: 10.1136/bmj.d4551 (Published 2 August 2011)
Cite this as: BMJ 2011; 343:d4551


少なくとも一つの処方ありの54 038 (89.0%)
約140万処方を対象に、 SSRI 764 659 (54.7%) 、三環系抗うつ薬 442 192 (31.6%) 、 MAO阻害剤 2203 (0.2%) 、他の抗うつ薬群  189 305 (13.5%)

副事象相関は7つのアウトカムに対し抗うつ薬クラス別に有意にその結果が異なる。

SSRIは、抗うつ薬未使用比較で
・ 転倒 (1.66, 95% confidence interval 1.58 to 1.73)
・ 低ナトリウム血症 (1.52, 1.33 to 1.75)

三環系・SSRI外のタイプの抗うつ薬はT抗うつ薬未使用比較で
・ 全死亡率 (1.66, 1.56 to 1.77)
・ 自殺企図/自傷 (5.16, 3.90 to 6.83)
・ 卒中/TIA (1.37, 1.22 to 1.55)
・ 骨折 (1.64, 1.46 to 1.84)
・ 痙攣/てんかん (2.24, 1.60 to 3.15)

三環系抗うつ薬はどのアウトカムでも最大ハザード比とならなかった。

個別薬剤で有意な固有な関連を有したのは、  trazodone (tricyclic antidepressant)、 mirtazapine、 venlafaxine でこれらがもっともアウトカムに関して最大の出現率を示す。


全原因死亡率1年絶対リスクは、抗うつ薬処方されない場合 7.04%
三環系抗うつ薬 8.12%
SSRI 10.61%
他の抗うつ薬(ミルタザピン(明治・リフレックス、MSD・レメロン)など) 11.43%



SSRIと薬剤及び一部新規抗うつ薬は、三環系抗うつ薬に比べ、いくつかの副事象アウトカムリスク増加と関連している。
個別薬剤の内、 trazodone(ファイザー・デジレル:http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179037F1037_4_03/、MSD・レスリン:http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179037F1029_2_08/), mirtazapine(明治・リフレックス:http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179051F1029_1_10/、MSD・レメロン:http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179051F1037_1_09/), venlafaxine(ファイザー国内治験中:http://www.pfizer.co.jp/pfizer/development/clinical_development/list/index.html)は特にいくつかのアウトカムにおいて最大リスクを有している。

観察研究なので、indication、channelling bias、他の寄与要素により影響を受け、種々抗うつ薬処方患者の間の特性の違いがこの関連と一部関連するものの、やはり、補正後もこの相関は残存する。
こっらの所見を確認する必要があり、種々抗うつ薬のリスク・ベネフィットは注意深く評価されるべきである。



by internalmedicine | 2011-08-03 08:29 | 精神・認知  

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