CSLD: 小児における慢性咳嗽→気管支拡張へのプロセス?

びまん性汎細気管支炎の経過を経年的にCTで観察していた報告が様々なされている。
子供・若年での気道病変、自覚症状としては咳嗽がその後の気道の形態の異常にかかわるのは必然なのかもしれない。これをどういう病名・病態名で呼ぶかも問題。



「HRCTで気道壁の肥厚・気管支拡張検知し、これらの所見の重症度重症度は臨床症状の長さと相関し、気道の好中球炎症の程度と相関する。しかし、HRCTより気管支鏡・気管支肺胞洗浄の所見の方が、気道異常検知感度が優れている。これら2つの所見が遷延化湿性咳総評価に補完的に役立つと思われる」

Bronchoscopic and High-Resolution CT Scan Findings in Children With Chronic Wet Cough
Chest August 2011 140:317-323; published ahead of print March 17, 2011, doi:10.1378/chest.10-3050
6週間を越える咳嗽 93名の子供(0.6-16.4歳)後顧的解析
HRCTにて所見有りは70(75.2%)
Bhallaスコアと咳嗽期間の相関がみられた (ρ = 0.23, P = .028)
気管支鏡(FB)/気管支肺胞洗浄(BAL)異常指摘の方がHRCTより異常検知には優れている (P < .001)
Bhallaスコアはtype II、type IV気管支病変と相関 (OR, 5.44; 95% CI, 1.92-15.40; P = .001、OR, 8.91; 95% CI, 2.53-15.42; P = .001)
これは、BALの好中球比率と正の相関 (ρ = 0.23, P = .036)







”言葉は大事だよ”、特に、医療に関しては言葉により医療施策方向性が歪曲され、的外れに進み、個々の思考にさえ影響を与える。

たとえば、喘息に関しても"reactive airways disease"なる言葉などつい最近まで医師たちは用いてなかった。

Dourosらの報告なのだが、慢性湿性咳総を訴える100名ほどの子供(平均5.8歳)の胸部CTから“chronic suppurative lung disease” (CSLD)が提唱されている。
気管支鏡で炎症所見そして、気道洗浄から細菌を認め、半数のみが好中球数増加している、彼らは、細菌性気管支炎が長引くことから始まり、CSLDとなり、最終的には気管支拡張になるものとしている。抗生剤早期治療でこの変化を抑えられるのではないかとさえ考えている。
だが、エディトリアルでは、この考えに疑問が上げられている。

細菌性気管支炎遷延化から気管支拡張という単純な考えで良いのか?慢性湿性咳をすべて“prebronchiectasis”病変と考えることにはならないのか?嚢胞性気管支炎以外の説明は?CSLDの子供に気道に好中球がさほどなかったことの意味は?好中球がみられないが細菌のみが存在してなぜ咳嗽に結びつく?

nomenclatureと臨床的過程に矛盾があるように思えるというエディトリアル(CHEST August 2011 vol. 140 no. 2 278-279

by internalmedicine | 2011-08-04 09:07 | 呼吸器系

 

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