血糖降下強化治療による死亡率・疾患死亡リスク、微小血管イベントへの影響

強化治療による死亡率増加(ハザード比 1.22、95%信頼区間 1.01-1.46)を示したAction to Control Cardiovascular Risk in Diabetes (ACCORD) 研究、さらに最近の3研究でも低血糖・体重増加を示す報告があり、強化治療に関してその効果に疑義が上がっている。


Effect of intensive glucose lowering treatment on all cause mortality, cardiovascular death, and microvascular events in type 2 diabetes: meta-analysis of randomised controlled trials
Rémy Boussageon et. al.
BMJ 2011;343:doi:10.1136/bmj.d4169 (Published 26 July 2011)


血糖降下強化治療の定義がはっきりしないが、強化治療 v 標準治療が主体の、13研究、34533名の患者
強化治療群 18315、 標準治療群 15218

強化治療は結局有意に全原因死亡率、心血管死に影響与えず (risk ratio 1.04, 99% 信頼区間 0.91 to 1.19、1.11, 0.86 to 1.43)

プライマリエンドポイントは、全原因死亡率・心血管死




セカンダリエンドポイントは、重度低血糖・大血管・微小血管イベントで、
非致死的心筋梗塞、微量アルブミン尿リスク減少は示す (0.85, 0.74 to 0.96, P<0.001、(0.90, 0.85 to 0.96, P<0.001)

2倍もの重度低血糖リスクがある  (2.33, 21.62 to 3.36, P<0.001)

5年治療経過後、心筋梗塞に対するNNTは 117~150、微量アルブミン尿回避NNTは32-142
低血糖による重度エピソードHHTは、15-52


Jadad score 3を越える高品質研究だけに限定すると、強化治療の減少に関する有意リスクはなく、うっ血性心不全47%増加の可能性がある  (P<0.001)


さて、実際の糖尿病診療にどう反映するか・・・

Kumamoto studyでも微小血管疾患(網膜症、腎症)の改善を認めている(http://www.dm-net.co.jp/daikibo/5_kumamoto_study/)。
Kumamoto studyでは心血管イベントが少なく、統計上も考察不能な状況であった。例数が少ないことが主因だったと思うが、人種的・風習的影響はなかったのか・・・少々、気になる。

by internalmedicine | 2011-08-05 10:50 | 糖尿病・肥満  

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