高血圧治療中左室肥大を考慮すべし・・・血圧値と独立して重要

左室肥大というのは、高血圧治療中意外に評価されないもの、その上、保険診療ではなぜか高血圧治療中に心電図が査定されたりします。ニチイ学館の連中が、医療機関のチェックで削り、保険者が投げた先で削り・・・結局、高血圧治療中に心電図を認めないことがdefaultとなり・・・これは医者の不正請求だとマスコミが騒ぎ立て、それを利用して行政・政府の医者いじめ(“医師会”という名前が出ると条件反射的に、“悪者”ときめつける現状)・・・それで医療行政の弊害のスケープゴートできあがり・・・>外資保険会社・財界関係の会社の利益確保



高血圧治療に関して、左室肥大というのはかなり重要な要因ということが、より明確になりました。

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LIFE study(Losartan Intervention For Endpoint Reduction in Hypertension:日本語説明はここ)、高血圧・左室肥大(LVH)をランダムにlosartanとatenololに振り分け、LVH改善が心リスクを軽減したかみたもの。


4.8年の平均フォローアップ後、LIFE研究者は高血圧治療がLVH減少(心電図、エコー検査)と関連し、心血管合併症・死亡率減少と相関することが見いだされた。


Regression of Electrocardiographic Left Ventricular Hypertrophy During Antihypertensive Treatment and the Prediction of Major Cardiovascular Events
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/292/19/2343
JAMA. 2004;292:2343-2349.

1995-2001年の9193男女(55歳ー80歳:平均67歳)、心電図上LVH(Cornell voltage-duration product or Sokolow-Lyon voltage criteria)

【結果】心血管死亡、非致死的MI、卒中が1096名(11.9%)に生じた。
Cox回帰モデルで、補正( controlling for treatment type, baseline Framingham risk score)後
Cornel productとSokolow-lyon voltageによる評価によるLVH軽症-重症度は、CVエンドポイントを14%(0.82-0.90)、17%低下(0.78-0.88)

平行解析で、Cornell productとSokolow-Lyon voltageはそれぞれ独立して
・CV死亡率低下に相関(HR, 0.78; 95% CI, 0.73-0.83; P<.001; and HR, 0.80; 95% CI, 0.73-0.87; P<.001, respectively)
・心筋梗塞 (HR, 0.90; 95% CI, 0.82-0.98; P=.01; HR, 0.90; 95% CI, 0.81-1.00; P = .04)
・卒中 (HR, 0.90; 95% CI, 0.84-0.96; P=.002; HR, 0.81; 95% CI, 0.75-0.89; P<.001)

【結論】心電図上のLVH軽症-重症度は、降圧治療中のLVHクライテリアは、血圧の低下作用、本態性高血圧症の治療modalityと独立してCV合併症・死亡率の尤度と相関。
降圧治療は心電図上のLVH予防をターゲットにすると予後が改善する



Prognostic Significance of Left Ventricular Mass Change During Treatment of Hypertension
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/292/19/2350
JAMA. 2004;292:2350-2356.
【結果】Cox回帰多変量解析で、LV mass indexとcomposite CV end point率の減少は相関 (HR 0.78 per 1-SD (25.3) LV mass index減少; 95% CI 0.65-0.94; P = .009)し、血圧減少予測以上のものであった。
治療中LV mass indexとCV死亡率 (HR, 0.62; 95% CI, 0.47-0.82; P = .001)、卒中(HR, 0.76; 95% CI, 0.60-0.96; P = .02)、心筋梗塞(HR, 0.85; 95% CI, 0.62-1.17, P = .33)、全原因死亡率(HR, 0.72; 95% CI, 0.59-0.88, P = .002)は、収縮期血圧・割り当てられた治療プロトコールに独立しての平行して相関

【結論】本態性高血圧・心電図上LV肥厚ある患者では、降圧治療中のLV massの低下は臨床的エンドポイントの発生率低下と相関し、血圧低下および治療モダリティーの付加的効果がある。


以下整理::::::::::::::::::::::::::
<LIFEのLVHクライテリア>
Cornell voltage duration product > 2440 mm sec
Sokolow-Lyon > 38 mm

<Cornell voltage-duration product>
the product of QRS duration (in msec) and Cornell voltage (the sum of R wave in AVL plus S wave in V3 with adjustment of 8 mm in women)
参考

すなわち:QRS幅(in msec)×Cornel voltage(R(aVL)+S(V3):女性では8mm補正)

記載の説明とは若干異なるようです。

Cornell product [(RaVL+SV3) × QRS](http://www.lifescience.jp/ebm/sa/2001/0104/index4.html

オリジナル:・http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=retrieve&db=pubmed&list_uids=1401620&dopt=Abstract
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=retrieve&db=pubmed&list_uids=7829796&dopt=Abstract



<Sokolow-Lyon voltage criteria>
SV1 + RV5 OR RV6 (whichever is taller) > 35 mm (age >35)
http://medicine.ucsf.edu/housestaff/ecg/lvh.html
となっているようですが、単にSV1+RV5 or RV6(より高い方)ということで良いのかも


その後も補正がなされたようです。
Cornell voltage adjustment was reduced to 6 mm in women, and Sokolow-Lyon voltage of greater than 38 mm was accepted as an alternative measure of the presence of LVH)


#いづれにせよ、心電図買い直したばかりのなのでこの Cornell voltage-duration productがださせるよう交渉してみよう・・・っと

by internalmedicine | 2004-11-17 11:45 | 動脈硬化/循環器  

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