リアル社会での高齢者の大腸癌検診(FOBA)有効性分析

当たり前の結論になるのだが、余命推定が長いと想定される高齢者の方が、余命推定が短いと思われる高齢者より、その実質負担率(net burden)は低下し、FOBAなどの便潜血反応検診有効性が高い。

Long-term Outcomes Following Positive Fecal Occult Blood Test Results in Older Adults
Benefits and Burdens
Christine E. Kistler et. al.
Arch Intern Med. 2011;171(15):1344-1351. doi:10.1001/archinternmed.2011.206



米国では、FOBT後のこのロスコピーフォロアップ率低く、現実的に長期アウトカムに関してベネフィットがあるかどうか、そのburdenがはっきりしない。

FOBT陽性の70歳以上の長軸コホート研究(4つの在郷軍人施設)を7年長軸フォローアップ

118/212、56%がコロノスコピーを受け、34名の腺腫、6つの癌を発見
コロノスコピー合併症あるいは癌治療は10%(12/118)
46%がフォローアップコロノスコピー無しで他疾患でFOBT5年内に死亡(43/94%)
5年内直腸結腸癌は死亡は3名

余命推定もっとも低い患者の87%はスクリーニングからのnet burden(実質的な負担)は 87%(26/30)、中間的な余命推定患者では70%(92/131)、最良余命推定患者では 65%(35/51)


"net burden"なるものを持ち出すと、日本では、納税者のコスト感覚が低いため、倫理を持ち出し非難されることがある・・・行政側も腰が引けて、一括した検診システムの維持がなされている

これがホントに倫理的なものなのだろうか・・・私は常々疑問をもっている・・・

by internalmedicine | 2011-08-09 08:54 | 消化器  

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