高齢女性:睡眠障害と認知症、軽度認知障害リスク
2011年 08月 10日
結論から言えば、認知症リスク軽減のためにもSDBスクリーニングは必要という話だと思う。
高齢者女性において、睡眠呼吸障害:SDB女性は、それ無しの女性に比べ、認知障害発症リスク増加と関連。
日本外の論文では、閉塞型無呼吸を鑑別できている場合はOSAとし、簡易的検査のみの時はSDBとして呼称と使われる傾向のようだ。
(日本の学会や論文では”SAS”なんて国際的に通用しない呼称が使われることもある様だ・・・恥さらしだと思うのだが・・・)
Sleep-Disordered Breathing, Hypoxia, and Risk of Mild Cognitive Impairment and Dementia in Older Women
JAMA. 2011;306(6):613-619. doi: 10.1001/jama.2011.1115
SDB無しの193名の女性に比べ、105名(35.2%)ではMCIや認知症発症リスクが高い (31.1% [n = 60] vs 44.8% [n = 47]; adjusted odds ratio [AOR], 1.85; 95%信頼区間 [CI], 1.11-3.08)
酸素不飽和指数(15イベント/時間 以上)、無呼吸・低呼吸睡眠時間高比率(>7%)はMCIや認知症発症リスク増加と関連 (AOR, 1.71 [95% CI, 1.04-2.83] , AOR, 2.04 [95% CI, 1.10-3.78] )
睡眠断続化 (arousal index と wake after sleep onset) と睡眠時間(total sleep time)は認知障害リスクとの相関認めず

上記は、高齢者女性だけの報告だが・・・
認知機能へ及ぼす影響に関しては、睡眠時間は関係がすくないかも・・・という話が出来る。
こういう報告は大変助かる。
テレビ・ラジオや新聞など大衆メディアで、適切な睡眠時間はなどという話がでることがある。科学対象の隘路に陥り嘘や詭弁時には言語お遊びで変な結論になることもある。
で、私たちにも大きな影響を与え、一定の睡眠時間が必ず必要と信じ込むご老人が精神科や内科などを受診し、よく考えない医師たちが大量の睡眠薬や抗不安薬、時には抗うつ薬を処方してしまう、”睡眠時間確保強迫症”みたいな最悪の事態をうむ元となる。
by internalmedicine | 2011-08-10 08:30 | 精神・認知