COPD: ウォーキングとサイクリング運動における酸素低下の違いは換気応答出現早さによる

COPDに対する呼吸リハビリテーションの中核は運動だが、サイクリングとウォーキングにおいて、酸素低下に違いがでてくるようだ。



Mechanism of Greater Oxygen Desaturation During Walking Compared With Cycling in Patients With COPD
Donald A. Mahler et. al.

CHEST August 2011 vol. 140 no. 2 351-358

COPD患者全員ではないが、運動中のoxyhemoglobin飽和度低下をもたらす。サイクリングに比べ歩行での酸素低下の方が大きいことが指摘されており、追加検討がなされてきた、一般的に漸増サイクリング負荷において3%ほど、トレッドミル歩行負荷中は7%の低下を示す

この違いは何から来てるか?

その論文。

仮説として、代謝性アシドーシスのオンセットがサイクリングにて速まり、換気ドライブを促進し、換気応答が迅速に反応し、動脈中酸素分圧低下を最小化するという仮説。
Palangeらが2000年に、換気血流不均衡がウォーキング時oxyhemoglobin低下をもたらすという、VDS/VT比増加を根拠とする説明がなされていた。
しかし、動脈血ガスはピークのみしか測定されておらず、説明に関して限界があった。

運動による換気応答で、肺胞・動脈血分圧(PAO2-PaO2)を評価


動脈血酸素分圧は、サイクリング時よりウォーキング時にピーク運動時低下 (51.4 ± 6.8 mm Hg v60.4 ± 10.7 mm Hg) (P = .002)

嫌気性代謝閾値の始まりはサイクリング時が早く、PAO2増加がみられる。ピーク運動時、PAO2は、サイクリングのほうがウォーキングより高い  (P = .004)
嫌気性代謝閾値はサイクリング中はウォーキングに比べ、酸素消費量低値  (P = .001)で、peak lactate levelはサイクリングの方が高値(P = .019)
漸増運動ではトレッドミルウォーキングも、サイクル運動も同様なPAO2-PaO2増加を示す。

結論から言えば、サイクリングとウォーキングの違いは、嫌気閾値始まりのタイミングの問題であり、一部は、筋肉受容体由来のものもあるかもしれないという話。



by internalmedicine | 2011-08-10 10:19 | 呼吸器系  

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