治療不応性喘息とマイコプラズマ持続感染: CARDS Tx検査で判明したこと
2011年 08月 10日
CHEST August 2011 vol. 140 no. 2 401-407
喘息はheterogeneousな疾患。それによるQOLへの影響、社会的影響もばらつきがあり、治療応答もばらつく。”不応性喘息:refractory asthma"(RA)は、経済上も大きな影響をもたらす。その一つとしてマイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae ;Mp)による、喘息の発作発症、持続との関連は注目されてはいるが、明確ではない。それは、培養検査の困難さ、active infectionを示す血清診断パフォーマンスの問題、PCRの感度のばらつきなどの限界がある
今回の研究では、community-acquired respiratory distress syndrome toxin (CARDS Tx)と呼ばれる、 68-kDa蛋白を用いた検討。
CARDS Tx は百日咳毒素と類似した、adenosine diphosphate-ribosyltransferase activityを有し、CARDS TxをPCRで、そして、直接抗体など開発。CARDS TX gene sequenceは、他のPCR増殖、P1 adhesinやATPase gene検知より、感度優れている。
この論文は、不応性喘息64名で、これらを検討したもの
Persistence of Community-Acquired Respiratory Distress Syndrome Toxin-Producing Mycoplasma pneumoniae in Refractory Asthma
CHEST August 2011 vol. 140 no. 2 401-407
CARDS Tx Mp陽性 34/64(52%) v P1 assay 10/33
Mp.2対する持続陽性633日間の長軸フォローアップで、10名持続
Mp陽性、Mp陰性のMp-特異的IgG抗体の有意差認めず
CARDS TxへのIgG応答
持続陽性の10例中8例で、CARDS TXへのIgG反応のmountできず、8週までのクラリスロマイシン治療では5例でのMp除菌成功できず。
結論:不応性喘息において、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mp)の慢性持続感染が多くみられ、CARDS Txがこの持続感染検知のため有用。
Mpの持続感染があるのにかかわらず、IgG応答乏しい、そして、マクロライド治療は除菌に十分でなかった。
長年不明だったマイコプラズマの咳関連毒素は、百日咳毒素(PT; ptxS1 )と類似した毒素(ADP-ribosylating and vacuolating cytotoxin of Mycoplasma pneumoniae)
PNAS April 25, 2006 vol. 103 no. 17 6724-6729
Cellular Vacuoles Induced by Mycoplasma pneumoniae CARDS Toxin Originate from Rab9-Associated Compartments
PLoS ONE 6(7): e22877. doi:10.1371/journal.pone.0022877
レスピレーターラトリ・キノロンを含めた初期治療による効果など・・・現存の治療薬で介入できるかどうか、そして、ICSなどとの関連・・・など話が広がる報告・・・
by internalmedicine | 2011-08-10 11:08 | 呼吸器系