高分化甲状腺癌への放射性ヨード治療使用の状況

甲状腺癌の管理のためのAACE臨床ガイドライン
http://www.j-tajiri.or.jp/source/treatise/004.html

これに、”放射性ヨードを使った残置組織の破壊”:Radioiodine remnant ablation(RRA)について書かれている。
3つの利点:も3つの利点
;正常な甲状腺細胞内に放射性ヨードが積極的に閉じ込められることにより、残存甲状腺内にある潜在性の微小癌をRAIが破壊する
・、残存している正常組織を破壊することにより、後にRAIスキャンで、特に頚部の残置病巣または再発病巣が見つけやすくなる
・RRAを行なうことにより、フォローアップ中の血清サイログロブリン(Tg)測定価値を高める


ただ、甲状腺癌へのアジュバント治療としての放射性ヨード使用に関して異論がないわけではない。

981病院治療された高分化型腺癌18万9219名のコホートで、Haymartらは、甲状腺摘除後、放射性ヨード使用症例を調査。1990-2008年の間に、放射性ヨード治療にて全サイズ比較で、腫瘍径増加を認め、使用度の病院間ばらつきは病院特性と相関してたことが判明。

Use of Radioactive Iodine for Thyroid Cancer
JAMA. 2011;306(7):721-728. doi: 10.1001/jama.2011.1139

1990-2008年、すべての腫瘍サイズ横断的に、放射性ヨード使用された高分化型甲状腺癌の比率や有意に増加 (1373/3397 [40.4%] vs 11 539/20 620 [56.0%]; P < .001)

2004-2008年の多変量解析にて、American Joint Committee on Cancer stages I とIVの間に、放射性ヨード使用の統計的差が見られた(odds ratio [OR], 0.34; 95% confidence interval [CI], 0.31-0.37)
しかし、stage II/IIIとIVの間での差は見られなかった  (for stage II vs stage IV, OR, 0.97; 95% CI, 0.88-1.07 and for stage III vs stage IV, OR, 1.06; 95% CI, 0.95-1.17)

患者・腫瘍特性に加え、病院規模が放射性ヨード使用に関して関連性があった。

ヨード使用のばらつきがあることと、ばらつきは21.1%程度なら、患者特性・腫瘍特性で説明が出来る。
病院の種類や症例でばらつきの17.1%が説明出来る。ばらつきの29.1%は説明出来ない病院特性によるものである。




by internalmedicine | 2011-08-17 08:40 | がん  

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