LDLコレステロール低下目的栄養指導:ベジェタリアン・ダイエットの現実性

コレステロール低下に対し、栄養指導が有効か? ・・・ という疑問に対して、真正面から対応している報告は少ない。JAMAに、LDLコレステロール低下目的に対し、有効な栄養指導のヒントとなる報告がなされた。

飽和脂肪減量指導に比較し、dietary portfolioにより6ヶ月後LDL強力に低下。

植物ステロール、大豆蛋白、viscous fiber、ナッツ導入を強調したdietary portfolio。
この基本はvegetarian dietであり、飽和脂肪酸を主眼としたダイエットより有効ということが分かった。

ルーチンのdietary portfolioは6ヶ月間に2回のクリニック受診、強化dietary portfolioは7回のクリニック受診

Effect of a Dietary Portfolio of Cholesterol-Lowering Foods Given at 2 Levels of Intensity of Dietary Advice on Serum Lipids in Hyperlipidemia
A Randomized Controlled Trial
David J. A. Jenkins et. al.
JAMA. 2011;306(8):831-839. doi: 10.1001/jama.2011.1202

345名を対象にした修正ITT解析
治療に関する寄与率群間有意差なし(18% for intensive dietary portfolio, 23% for routine dietary portfolio, and 26% for control; Fisher exact test, P = .33)

LDL-C減少は平均171mg/dLから 強化dietary portfolioにて13.8%(95% CI, −17.2% to −10.3%; P < .001)、−26mg/dL (95% CI, −31 to −21 mg/dL; P < .001)減少

ルーチンdietary portfolioでは、−13.1% (95% CI, −16.7% to −9.5%; P < .001) 、–24 mg/dL (95% CI, −30 to −19 mg/dL; P < .001)

対照群では、 −3.0% (95% CI, −6.1% to 0.1%; P = .06) or −8 mg/dL (95% CI, −13 to −3 mg/dL; P = .002)
LDC-C低下群比率としても対照群に比較しportfolio群では低下(P < .001)

2つのportfolio群では有意差なし  (P = .66)

dietary portfolioによるLDL-C減少比率は、dietary adherenceと相関 (r = −0.34, n = 157, P < .001)



特定健診でなされる食事指導、かなりいい加減で雑と現場からの感想をもつ。
特にこのコレステロール低下を目的とした場合の栄養指導。効果あるかどうかわからない特定保健指導に多大な公的費用が費やされている。なぜかそれは・・・日本の行政の特性である、反省せず、批判は甘受しないという一方的な命令のみしか存在しないことに起因する。上記ごとき、前向き研究によるより強度の科学的根拠をつくろうなどと誰も思ってないところがすごい。結局、クリニックなどの医療介入が強力な効果を持つことに他ならない。”脱医療”を目的とする特定健診にはもともと矛盾があるのだ。

by internalmedicine | 2011-08-24 06:51 | 動脈硬化/循環器  

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