FMDという検査からみた動脈硬化予防

超音波計測による上腕動脈%FMD:前腕動脈の血流遮断前と血流再開後の上腕動脈径の変化率)というのは、血管内皮の機能を検討をするために行われている検査です。だれもこの%FMDが改善しても寿命を延ばし、合併症を減少させたという論文はないはずですが・・
(血液さらさら度よりははるかに信頼ができるはず、生体内反応であり、擬似的血管内シミュレーションではないため・・)

ちょっとまとめてみると、血管内皮系の研究の動きがわかっておもしろいようです。
(一般の人に理解しようとちっともおもってないのであしからず・・・)

で、結局
運動、禁煙、コレステロール低下、血圧治療ということになりそうですけどね。

上記生活指導をすると、みのもんたの影響で、診察室をさっていくときに、「で、結局、なにをたべると良いわけ?」って聞かれます。 がっくり・・・・・


Effects of mental stress on flow-mediated brachial arterial dilation and influence of behavioral factors and hypercholesterolemia in subjects without cardiovascular disease.
Am J Cardiol. 2003 Sep 15;92(6):687-91.
心理的ストレスも、高コレステロール血症でも、血管拡張の障害


Effects of mental stress on brachial artery flow-mediated vasodilation in healthy normal individuals.
Am Heart J. 2000 Mar;139(3):405-11.
健常者で心理的ストレスは血管内皮依存的FMDに影響を与える。


Flow-mediated vasodilation of the femoral and brachial artery induced by exercise in healthy nonsmoking and smoking men.
J Am Coll Cardiol. 2001 Nov 1;38(5):1313-9
全身運動後のFMDはよく反応し、この拡張作用がすくないのは喫煙者で、血管内皮依存FMDを障害し、低下させる。


Effect of Chronic Stress and Sleep Deprivation on Both Flow-Mediated Dilation
in the Brachial Artery and the Intracellular Magnesium Level in Humans
Clin. Cardiol. 27, 223–227 (2004)
基礎実験的な話しで、
30名の学生に超音波計測による上腕動脈flow mediated dilation(FMD:前腕動脈の血流遮断前と血流再開後の上腕動脈径の変化率)と舌下GTN誘発血管拡張を測定。
赤血球中マグネシウム濃度を同時測定
慢性ストレスによりFMD減少し、赤血球中マグネシウム濃度が低下(7.4 ± 3.0 → 3.7 ±2.3%, p<0.05; 5.7 ± 0.4 → 5.5 ± 0.4 mg/ml, p<0.05).FMDは有意に赤血球中マグネシウム濃度と相関するが、NGT誘発性血管拡張とは相関せず。


homocysteinの上昇は,内皮機能障害,酸化ストレスを介して動脈硬化をもたらす。これは葉酸とビタミンCの投与がhomocysteinを低下させ,flow mediated dilationを改善させることから明らかである
Title LM, et al. J Am Coll Cardiol 2000;36:758-65.


Clinical correlates and heritability of flow-mediated dilation in the community: the Framingham Heart Study.
Circulation. 2004 Feb 10;109(5):613-9.
コミュニティーサンプルでは年齢、収縮期血圧、BMI、喫煙はFMD%と相関。
測定前の運動習慣や心拍増加はFMDの高さと相関。FMDの遺伝性は中等度。

Time course differences for statin-induced pleiotropic effects in hypercholesterolemic patients.
Hypertension. 2003 Jun;41(6):1281-6. Epub 2003 Apr 28.
CCB2種類[nifedipine GITS (30 to 60 mg, n=28)、amlodipine (5 to 10 mg, n=28)]、β‐遮断剤[atenolol (50 to 100 mg, n=29)、β 1 選択性遮断薬nebivolol (5 to 10 mg, n=28)]、ARB[telmisartan (80 to 160 mg, n=29)]、ACE阻害剤[perindopril (2 to 4 mg, n=28)]だけが、血管内皮依存的FMDに影響を与える可能性


最後の参照文献などは、薬屋さんが一生懸命高いARBをうりだしているけど、結局ACE阻害剤にかなわないやって感じなんですが・・・・
お医者さん勉強しないとまた薬屋にだまされまくりですよ・・・

by internalmedicine | 2004-04-06 15:08 | 動脈硬化/循環器  

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