閉塞型睡眠時無呼吸症候群におけるCPAP導入方法のステップの簡略化の可能性・・・
2004年 11月 25日
閉塞型睡眠時無呼吸をひた隠しにしょうとする運送関連業者が明らかにいます。
Epworth眠気スコア(ESS)は本来昼間の眠気という病態の重症度を示すだけであり(参考)、選り分けに役立たつというエビデンスがないにもかかわらず(当方を含め、多くの施設でESSがスクリーニングに役立たないというデータはいくらでもあります)、国土交通省が野放しにしており、しかもアンケート法なので客観的でもなく、恣意的改ざんができるのです。それに対して厳格な罰則もないのです。
公共交通機関の運転手にあっては酸素飽和度の夜間モニタリングの義務化をしなければ隠れた労働災害は無くならないだろうと思います。
犠牲者を出し三菱自動車は社会的制裁を受けていますが、今後、睡眠障害による被害者が出てくるであろうと予測でき、その運送業者は社会的制裁を受け、その会社の存亡に関わることとなるのだろうと考えられます。そして野放しにした行政の方にも批判の眼がむけられることででしょう。
マスメディアの皆さん、是非 運送業における居眠り事故の裏側を暴いてください。
ところで、閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)の診断され、かつ、ある程度の重症度以上の場合はマスクによる持続陽圧呼吸(CPAP)が行われますが、本来は、適正圧の測定がなされて、その後、初期圧設定の上で、CPAPの導入がなされているはずです。
それがある種のプロトコールに従ったり、自動CPAPなら、その部分を省いて好いのではないかという話が出てきております。
ただ、私の場合は慢性閉塞性肺疾患などが絡んでいる場合も否定できず、やはり全例そのまま、外来で導入ということには賛成できませんが・・
Alternative Methods of Titrating Continuous Positive Airway Pressure
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/170/11/1218
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 170. pp. 1218-1224, (2004)
SAHS患者のCPAP療法の標準的方法は、検査機関でPSGによる圧タイトレーションが要求されるものであった。しかし、PSGタイトレーションは効果であり、時間がかかるものである。CPAP-naiveな患者の大規模数で、医療の関連しない自動補正CPAP装置の場合と予測式使用の場合でもPSG施行下のタイトレーションと同様のパフォーマンスがあった。
360名のCPAP治療必要なSAHS。3つのグループにランダム化(医療の関連しない自動補正CPAP装置の場合、予測式使用の場合、CPAPタイトレーション)
主なアウトカムはAHI、自覚的な昼間の眠気、フォローアップは12週。
何れのアウトカムでも3群間は類似。客観的なCPAP治療のコンプライアンス、ドロップアウト率も同程度。
自宅での自動補正タイトレーションと医療的予測式タイトレーションは標準的タイトレーションに代換可能。コストの節約となり、ウェイティング・リストの減少に役立つかもしれない。
自動タイトレーションに関してはすでに報告有り→参考
by internalmedicine | 2004-11-25 15:40 | 呼吸器系