SSRIの重大な副作用:異常出血増加
2004年 11月 26日
SSRI使用者に異常出血増加し、セロトニン取り込み阻害活性の作用が強いほどリスクが増す。
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(Arch Intern Med 2004;164:2367-70).
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/164/21/2367
セロトニンは、血小板凝集に重要な役割を果たすと事が知られている。抗うつ薬はこの血液中のセロトニン値に影響を与えるので、異常出血のリスク増加につながる可能性があることが考慮されているが、しかし、まだこの結論は出ていなかった。
仮説をテストするために、オランダUtrechtのUtrecht Institute for Pharmaceutical Sciencesでは、1992-2000年の64000名のnested case-control studyを行った。
オランダの85万人以上の投薬歴PHARMOデータベースから収集、少なくとも30日のSSRI投薬を受けた患者群。
病因多因データと処方データをマッチさせ、SSRI服用異常出血の初期診断で入院した患者を同定。年齢、性で対照をマッチ。SSRIの程度、薬剤自身の、セロトニン担体への結合性で定義されるセロトニンreuptake阻害作用の程度で分類:高、中間、低
196例の異常出血を同定、尿路出血、上部消化管出血、脳出血、血尿、鼻出血、喀血、関節血症、血腫、手術後の過剰出血を同定
入院リスクは
中等度活性SSRIでodds ratio 1.9,(95%CI 1.1 - 3.5)
高度活性SSRIで2.6(95%CI 1.4 - 4.8)
異常子宮出血のサブグループ解析で有意でなかったが、
低活性のSSRIに比較して
中等度SSRIで 1.7(95%CI 0.7 - 4.1)、高度SSRIで3.0(95%CI 0.8 - 4.9)
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入院や死亡事例に基づくこれまでの検討では出血事例を見逃している可能性があることを指摘。
相互作用・セロトニン阻害作用を有する他の薬剤との関係も、考察される・・
http://www.bentham.org/sample-issues/cmc9-8/spinks/spinks-ms.htm
SSRIと消化管出血に関しては忘れられない思い出、といっても臨床体験ではなく、薬剤会社との思い出ですが、
下記論文
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They report a case control study in which the risk of bleeding was increased around threefold in patients taking SSRI antidepressants. The absolute effect was moderate, and similar to that of low dose ibuprofen. For patients taking concurrent SSRI and NSAID therapy, the risk was greater than the sum of the independent effects (British Medical Journal 1999;319:1106).
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/319/7217/1106
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を提示して、当時たまたま訪問したF社のMRさんにSSRIの消化管出血に関するリスクを訪ねてみたところ、文献をみせた上にもかかわらず、「ありません」の即答、せめて調べてから返答せよと、怒ったところ、その後も文献提示無く、「あんた、なんのためにうちにきてんだよ」と、怒り爆発。
その後、上司来訪して気が静まり欠けたところ、「当方のMRがそんなコトするはずがありません」との弁、「じゃー、あんたんところのSSRIが消化管出血と関係ないという、その文献を検索したんだろ、だったらみせてみろ」とさらに怒りが静まらず、当方とF社の冷たい関係がつづいております。
なんのためのMR(医薬情報担当者)なのだ・・・単なる製品紹介・宣伝だけじゃなく製品の安全性、適正使用を説明できてこそのMRではないのか・・・合併してでかくなるそうですが・・・F社の悪い伝統だけは引き継がないでほしいものです。
by internalmedicine | 2004-11-26 10:28 | 医学