大気汚染:PM10、NO2増加1-6時間後急性心筋梗塞増加
2011年 09月 21日
実際、虚血性イベントや血栓性イベントは数時間での影響が出るのが当たり前のはず・・・ということで、時間単位の検討。
MINAP(Myocardial Ischaemia National Audit Project)データベースのcase crossover anaysis
直径10μm未満大気粒子(PM10、二酸化窒素(NO2は、1-6時間後の心筋梗塞リスク増加と関連する。しかし、後時間のリスク減少が存在し、包括的リスク増加というより、時間という要素が相関するだろうという結論に至らざる得ない。この"short-term displacement effect"は、すなわち、いわゆる”harvesting [effect]” (弱い人が早くなくなったので強い人が生き残るといった効果)ということらしい。
心肺死亡率の大気汚染の役割は確立されているが、タイムスパンを広げると、心筋梗塞急性リスクの増加には関連せず、他の要素の可能性が高いという結論になっている。
The effects of hourly differences in air pollution on the risk of myocardial infarction: case crossover analysis of the MINAP database
BMJ 2011; 343:d5531 doi: 10.1136/bmj.d5531 (Published 20 September 2011)
MINAPのPM10、オゾン、CO、 NO2、SO2データのtime stratified case crossover study
大気温、相対湿度、インフルエンザ・RSウィルスの流行レベル、曜日、暦月内の季節性要素補正single and multi-pollutant modelを用い、population effectを、時間差(lags)を1-6時間、7-12時間、13-18時間、19-24時間、25-72時間で検討
PM10 と NO2値は1-6時間後心筋梗塞リスク増加と関連 (10 μg/m3増加毎 超過リスク 1.2% (95% confidence interval 0.3 to 2.1) 、 1.1% (0.3 to 1.8))
Estimated excess risk of myocardial infarction associated with increases in air pollutants (with five lag terms covering 0–72 hours) from a single pollutant model (separate models for each of the pollutants adjusted for temperature (five lag terms covering days 0–28 inclusive)
PM10の独立した効果は弱いエビデンスしかなかった (P=0.05)が、多大気汚染モデルの効果は残存した
即時リスク増加は、長い潜在時間後、リスク減少が見られる。
暴露72時間を越えた場合の5大気汚染物質とのネットの超過リスクの相関エビデンス認めなかった。
Estimated excess risk of myocardial infarction associated with increases in air pollutants (with five lag terms covering 0–72 hours) from a single pollutant model
包括的には、急性効果以外の別の病態が関与している可能性を示唆
by internalmedicine | 2011-09-21 10:59 | 動脈硬化/循環器