火に油?消化剤?: ACE阻害剤/ARB と がん; あらたな報告は全体的には有益性!

ACE阻害剤・ARBはかなりひろく用いられている薬剤であり、発がん性があれば大事。逆に、基礎的には有益性の可能性があるという話もある。

この議論は昨年からとくにヒートアップしている。

1)降圧剤ARBと肺がんとの関係:25%増加? 2010年 06月 16日
2)FDAはARBsの発がん性否定の発表・・・だが、疑念はくすぶる 2011年 06月 03日
3)腎移植レシピエント:ACE阻害剤/ARBは呼吸器系/胸腔内がんリスク増加させる 2011年 09月 29日

1)の大元論文では、ACE阻害剤・ARBは新規がん診断リスク増加と軽度関連する(RR 1·08、トライアルをしぼれば 1.11、特に肺がんとの関連 RR 1.25 )
Angiotensin-receptor blockade and risk of cancer: meta-analysis of randomised controlled trials
The Lancet Oncology, Volume 11, Issue 7, Pages 627 - 636, July 2010
この報告の癌発生数61500ほどの5トライアルのデータからの解析。

CMAJ 2011年10月4日号にソウル国立大学医学部のChan Yoonの論文
ARBsとACE阻害剤の食道癌などがんリスクへの利益性と黒色腫・腎がんへのリスク増加の報告

Use of angiotensin-converting-enzyme inhibitors or angiotensin-receptor blockers and cancer risk: a meta-analysis of observational studies
CMAJ October 4, 2011 vol. 183 no. 14 E1073-E1084

3970のスクリーニング後の文献、12コホート研究鵜16の症例対照研究を選択
ACE阻害剤/ARB使用とがんの包括リスクに有意な相関認めず  (relative risk [RR] 0.96, 95% confidence interval [CI] 0.90–1.03)


コホート・nested症例対照研究解析に限定すれば、2種の薬物治療どちらかの使用と癌のリスク減少は相関する (RR 0.90, 95% CI 0.83–0.97)
そして、5年超の長期フォローアップに限定しても減少 (RR 0.89, 95% CI 0.83–0.96)

がん部位によるサブグループメタアナリシスでは、リスク減少が食道癌に対し、リスク増加が黒色腫、腎がんに対し認められる。


”火に油?消化剤? http://www.theheart.org/article/1291675.do ”という解説記事

by internalmedicine | 2011-10-07 10:48 | 動脈硬化/循環器  

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