リハビリテーションに関する考察
2004年 04月 07日
さて
リハビリテーションに関して2種類のリハビリテーションがあるそうです。
「1つは,脳卒中のように急激に悪くなってその後回復していく時に,それをさらによくするかたちのリハビリテーション。もう1つは,廃用症候群や変形性関節症のように,徐々に生活機能が低下していくのをいかに早く気づいて食い止めるかという,これまで注目されてこなかったリハビリテーションです。 」
引用
これはおそらく、介護保険利用増加による介護保険破綻の目くらましをしようとする行政の理論的?根拠となるものだと思います。
整形外科・一部内科で行われているリハビリテーションとは、骨折後や手術後などの急激な病状の変化と改善がみこめるのは別として、廃用症候群を目的としたものがほとんどだと思います。 ほんとは、連日のごとく整形外科に通院する目的は、おそらく除痛のための通院です。これに連日の医師の継続的関与が必要なのでしょうか?
毎回診察料を請求する合理的理由は存在しないと私は思います。これはこの手技料に対する技術料が極端に安いためで、理学療法IVではなんと300円:病院側の経費から言えば大赤字が当たり前でしょう。人件費+設備・器具維持管理費を考慮すれば成り立つ方がおかしいのですが、これはむしろ診察料を差し引いて、医療機関から独立したところでやられてもよいのではないかと思います。この場合はもちろん整形外科など医師がスーパーバイズして、真にエビデンスがあり、包括的な除痛をはかることがなされるべきです。
整形外科は月当たりの診療回数が多いのが特徴ですが、整形外科医はむしろアセスメントと治療計画策定に専念した方が、一人あたりの患者に濃厚に接することができ、より医師としての仕事に専念できるのではないでしょうか?
薬剤のように処方箋を発行し、定期的に評価をするべきです。現在、整形外科・一部内科で行われているリハビリテーションでは、診察料が含まれます。この方面の除痛治療をリハビリテーションと区別し、それに関しては、除痛処置として区別し鍼・灸、整体などは必ず有資格者が施行することとし、医療の監視下におき、管理加算的に、総合的な医療体制を構成する方がよいと考えます。
廃用症候群予防を、機能的分別科されたセンターにて、医師のリハビリテーション指示箋をもとに、定期的評価を行い、廃用症候群予防をはかるべきです。零細なセンターは効率上良くないとわたしは思います。
1)廃用症候群に対するリハビリテーション+疾患特異的リハビリテーション:現状維持を目的、もしくは向上できたら、施設側にご褒美を与える。
2)除痛処置:自覚症状・QOLスコアの改善しない治療を継続させない
疾患特異的というのは、疾患ごとに特異的なリハビリテーションが必要だからです。
廃用症候群の基礎的リハビリテーションは疾患に関係なく、行えるようになってほしい者です。
というのが呼吸器リハビリテーションはまだ医療保険で認めてもらっておりません。呼吸器リハビリテーションのガイドラインも存在するのにです・・・。慢性的な変形性関節症などに対するガイドラインは準公的リハビリテーションも存在しないのに保険適応になっているのを考えると整合性がつきません。
去年の4月の再診料減算に関して一部整形外科医からの強い突き上げで、再診料の漸減化がなくなりました。内科医としては非常に残念なことでしたし、呼吸器科医師として、今年の改訂でも呼吸器リハビリテーションが認められなかったことは大変残念なことでした。
リハビリテーションというのは、広い概念で、「医学的な身体の回復を意味するのはもちろんのこと、社会的地位や資格・身分・信頼・評判などを回復することの意味もある」とのことで、当然地域社会との関わりで、その状態の回復を図るものと考えます。
一診療所の小さい世界に閉じこめようとする、いわゆるリハビリはリハビリテーションではありません。(リハビリテーション&定義 google)
これをかんちがいしているサービス提供者が多いのではないのかと・・・・
以下のような、PEARLSという取り組みをみるとこれもリハビリテーションではないかと感じます
↓
Community-Integrated Home-Based Depression Treatment in Older Adults
A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2004;291:1569-1577.
PEARLSプログラム、地域社会促進型、居宅中心型うつ病治療は有意に症状を改善し、健康状態を改善する。
具体的Web
ルーチン・ケアと介入群に分かれ、前者はかかりつけ医・地域のソシャルワーカー・UWリサーチャーのコミュニケーションによるもの、後者は精神学専門家がデザインしたもの。ケアマネージャーにより治療は進められ、カンセリング・セッション、社会的活動、身体的運動、薬剤療法も含める。介入群は、19週に1時間問題解決セッションを8回含む。
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現実的に、日本でリハビリテーションを指導・教育してきたリーダーたちの啓蒙が足りず、結局、地域社会への帰巣がかなわない日本の現状は???です。
超有名元野球選手&リーダーも現在急性期リハビリテーションにがんばってられると思いますが、本来の目的は、医療機関やスポーツジムのようなところで鍛錬するのではなく、地域社会にとけ込んで行くことを目的とすることをリハビリテーションと呼ぶべきです。
めずらしく、日本語だらけ、論文引用無しの日記でしたが、今後このテーマに関しては考慮を続けたいと考えております。
慢性的な疾患に対する疾患特異的な整形外科リハビリテーションにエビデンスはあるのか?
<考察中・・・>
by internalmedicine | 2004-04-07 13:13 | 医学