肺がん検診:PLCOトライアル 年次胸部レントゲン検診では肺がん死亡率減少させず

PLCOトライアルに対するエディトリアルなのだが・・・NLSTをコメントを含めて解説している。

数ヶ月内に、肺がん検診に関する2つの大規模ランダム化研究が報告された。相互補完的な内容と称しているJAMAエディトリアル氏
PLCOトライアルでは胸部レントゲン写真による肺がん検診の非有効性の確認がなされた、55歳から 74歳ヘビースモーカーないしはヘビースモーカーを対象とするNLSTでは、肺がん死亡リスク減少のため、早期発見を勧めることが重要ということが確認されたと書かれている。

NLSTは、年次low-doseCTにより、通常の胸部レントゲンより20%死亡率を減少させるという報告
Aberle DR, Adams AM, Berg CD, et al., National Lung Screening Trial Research Team. Reduced lung-cancer mortality with low-dose computed tomographic screening.
N Engl J Med. 2011;365(5):395–409.
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PLCO Cancer Randomized Trial は、年次胸部レントゲン検診では非検診群比較でも肺がん死亡率減少させないというもの
Oken MM, Hocking WG, Kvale PA, et al. Screening by chest radiograph and lung cancer mortality: the Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian (PLCO) Randomized Trial [published online October 26, 2011]. JAMA.doi:10.1001/JAMA.2011.1591.



肺がん死亡率26%減少のため、臨床医は低被爆CT検診を行うべきなのだろうか?

1980年代のランダム化トライアルでは、Mayo Lung Project以外すべてで対照群でもレントゲン検診行われているという状況で、レントゲン検診では死亡率減少示せなかった。PLCOトライアルでは、4つのがん死亡予防を目的にしたパッケージで、55-74歳のアメリカ一般住民参加し、肺がん死亡率10%検知90%確率でデザインされ、8年に及ぶ77445名の検診割り付け、77456名対照。半数が喫煙経験者。10%が現行喫煙者。結果、プライマリエンドポイントである肺がん死亡率では、1万人年あたり介入群 14.0、対照群 14.2で、リスク比 0.99、95%CI 0.87-1.22)。
NLSTクライテリアに相当する高リスク群では肺がん死亡率を除き同等。結局、PLCOトライアルにて短期胸部レントゲン検診プログラムでは肺がん死亡率に影響を与えない。研究信頼性懸念事項は被験者との接触に関して明言されてないことがあるが、以前の報告の非有効性の確認がなされた形。生命予後に影響を与えない非進行性のがんの存在についての議論と過剰診断の問題なども語られている。

NLSTで、低放射線量CT年次検診は肺がん死亡率を通常の胸部レントゲン比較で20%減少させたことと、PLCOトライアルの知見をあわせて評価して良いか・・・ぐだぐだと・・・

ONLINE FIRST
Screening for Lung Cancer With Chest Radiographs
JAMA. Published online October 26, 2011.



非喫煙者・喫煙高暴露者無視したCT検診を是とする報告ではないと追記しておこう!
リスク説明もせず、高リスク選別しない某県のCT検診を是とするものではない。

by internalmedicine | 2011-10-28 09:51 | がん  

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