膝関節症に対して痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛剤:NSAIDs)は短期的使用のみにすべきという論文


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NSAIDsは短期的に変形性膝関節症の痛みを短期的には改善するが、長期的なエビデンスはない。ランダム化、偽薬対照トライアルのメタ分析で、Bjordalらは7807名のNSAIDs、3038例のプラセボ服用者のデータで、分析し。NSAIDsの重篤な副作用の存在故ゆえ、短期的限局的使用を推奨した。

Non-steroidal anti-inflammatory drugs, including cyclo-oxygenase-2 inhibitors, in osteoarthritic knee pain: meta-analysis of randomised placebo controlled trials
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/bmj;329/7478/1317
BMJ 2004;329:1317 (4 December),
1つのトライアル分析では長期プラセボに比較して1-4年で有意差無し。
VASでの疼痛のプール相違分析では2-13週後10.1mm(95%CI 7.4-12.8)あるいはプラセボより15.6%有効
random effect modelにおいて均質性がなく、疼痛減少効果は0.32(0.24-0.39)であった。NSAID治療のノンレスポンダーを除外しない10のトライアルではeffect sizeは0.23(0.15-0.31)であった。
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関節・運動系の専門医が、変形性膝関節症に、アセトアミノフェンが推奨されているにもかかわらず、なぜ使用が少ないかというとやはり有効性の問題なのでしょう。
http://ard.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/63/8/901?ijkey=537c241a3d21bf0a54b47a47eff7b9b1948e272f&keytype2=tf_ipsecsha

NSAIDsの副作用に対する無知が、いろいろなエピソードを生んでいるようです。アスピリン喘息やアレルギー、心血管系への影響に関してもう少し思いをめぐらしてほしいものだと思う。

この論文の論評(http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/329/7478/1300)は非専門医の私には勉強になりました。
筋肉トレーニング・鍼・テーピング・局所薬・グルコサミン・コンドロイチンなども言及関節注:短期的効果(2週間)は著明、やや長期的研究(16-24週)でも改善。短期的効果が重要である。年余の効果には疑問。
手術:約90%で結果は良好。85%で満足が得られている。2年フォローアップでもっとも強いエビデンス有り、5-10年もしかり。合併症は5.5%。0.5%がが手術しする。

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局所療法が代換療法なみというのも、日本との差なのでしょう。

英文をひもとけば、針治療の方が、貼付剤・シップより信頼性が高いようですし、日本の運動関節系の医師の実態とはなれた診療が推奨されているようです。

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変形性関節症への外用消炎鎮痛剤の長期投与を否定するメタアナリシス結果
http://intmed.exblog.jp/816581/

鍼治療は膝変形性関節症(OA)の薬物治療の代換治療として合格らしい
http://intmed.exblog.jp/1333151/

by internalmedicine | 2004-12-03 11:30 | 運動系  

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