マクロライド耐性マイコプラズマ肺炎

メディア取材された情報に関して、情報発信者側もウェブで、しっかり、プレスリリースさいた方が良いと思う。一般的に、マスコミ報道は一般向けである。臨床家に必要なのは具体的情報である。マスコミは、状況次第でミスリード日常茶飯事だし・・・

NHKのニュースで見た
抗生物質効かない肺炎が流行 11月16日

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111116/k10013989031000.html

マイコプラズマという細菌による肺炎が、ことし、子どもを中心に流行していますが、これまで効くとされていた薬が効かない「耐性菌」が多いことが分かり、専門家は、症状が長引いて重症化するおそれがあるとして、注意を呼びかけています。

マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマという細菌が原因で起こる肺炎で、発熱や全身がだるくなるなどの症状が出るとともに、せきが長く続くのが特徴です。国立感染症研究所によりますと、ことしは、全国の450余りの医療機関から報告される患者数が、今月6日までの累計で、1万1919人と、この時期としては過去10年間で最も多くなっています。年齢別では、▽0歳から4歳が37%、▽5歳から9歳が30%、▽10歳から14歳が15%で、0歳から14歳までの子どもが全体の80%以上を占めています。マイコプラズマは、これまで、「マクロライド系」の抗生物質が効くとされ、医療現場で最初に選ぶ薬として使われてきました。しかし、北里大学北里生命科学研究所が、ことし、東京や広島など5つの病院の患者から検出されたマイコプラズマを調べたところ、86%が「マクロライド系」の抗生物質が効かなかったということです。調査した北里大学北里生命科学研究所の生方公子特任教授は、「マイコプラズマの耐性菌は、ことし急速に広がっている。症状が長引いて重症化するおそれがあるため、医師は、従来使っていた抗生物質が効かなくなっているということに注意して、診療に当たってほしい」と話しています。



 (掲載日 2011/10/25)
<速報>小児におけるマクロライド高度耐性・肺炎マイコプラズマの大流行
http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3814.html
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ベースの記事ではないかという指摘をいただいた。





現在、ML以外にマイコプラズマ感染症に適応があるのはミノサイクリン(MINO)である。本薬に耐性菌は認められていないが、抗菌力が非常に優れているというわけではない。

ML耐性マイコプラズマは世界的に出現し始め、近隣諸国においては耐性化が著しいと報告されている。

治療薬として臨床効果が期待できるのはMINOのみであるが、その添付文書には歯牙形成期にある8歳未満の小児に対する使用は、予測される副作用を上回る効果が期待できる場合のみとなっている。そのほかにも留意すべき副作用があるので、その使用は臨床効果が得られる最小期間にすべきであろう。私どもでの検査では、MINOの3日間投与で菌はほとんど消失していることを確認している使用期間は通常3日長くても5日以内に留めたい。

補足であるが、最近、小児の耐性菌感染症用としてトスフロキサシン(TFLX)が認可されている。しかし、マイコプラズマへの適用は取得していない。当該感染症に使用するのであれば、そのエビデンスが必要となろう。


一方、クラリスロマイシン、アジスロマイシンなどを含めマクロライド系についてこういう考えもある・・・
クラリスロマイシンをはじめとするニューマクロライドの最大の特徴の一つとして、組織移行性の良さがあげられます。例えば、健常人に、クラリスロマイシンの常用量を経口投与すると、最高血中濃度は約2μg/mL となりますが、驚くべきことに、肺組織や肺胞上皮被覆液の濃度は50μg/mL 前後に達するといわれています。従って、仮に肺炎球菌のクラリスロマイシンのMIC が1 どころか、4~8μg/mL 程度であっても、クラリスロマイシンの組織濃度はそれを十分に超えうる可能性がある、ということです
http://radio848.rsjp.net/abbott/pdf/060127.pdf



ミノサイクリン 250mg/day投与で、Peak 2mg/L、半減期2-4時間を考えると、薬剤動態からは結構ミノマイシンは厳しい。


組織濃度は単回投与後血中濃度の100倍に高まる
(
http://www.springerlink.com/content/uuj47hm161566055/)

薬剤血行動態ばやりだが、新規マクロライドはそれだけで臨床的効果を予測できないはず・・・臨床的効果のデータを会わせて報告するべき・・・ 


上記NHK報道は、やはり 結果的にみれば偏った報道と言わざる得まい・・・

by internalmedicine | 2011-11-16 23:29 | 感染症

 

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