ナトリウムJカーブ現象? ナトリウム5g/日程度が最適?
2011年 11月 23日

塩分制限の健康ベネフィット議論進行中の最中、塩分摂取多くても少なくても心血管リスク増加するという新しいエビデンス出現した。
29000名成人の検討で、ナトリウム排泄レベル最低値で心血管リスク増加するだけではなく、推奨ガイドラインカットオフ値以上でもリスク増加することも示された。
(最下段にもなんでも減塩に関する疑問を呈する報告を記した)

ナトリウム(食塩量) 2g(5.1g) 6g(15.2g) 8g(20g)
この図だと、食塩量で13g/日程度が最小リスクとなりそうだが・・・
これが本当だと、病院の基準塩分摂取量は少なすぎることとなる。
Urinary Sodium and Potassium Excretion and Risk of Cardiovascular Events
JAMA. 2011;306(20):2229-2238. doi: 10.1001/jama.2011.1729
心血管イベントリスクにある28 881名のデータ解析
O'Donnellらは、ベースラインでのナトリウム・カリウム排泄とCVイベントの関連を検討
ベースラインで、24時間排泄推定量平均(SD)は、4.77 g (1.61)、カリウムは2.19 g (0.57)
中央値56ヶ月フォローアップ後、複合アウトカムは4729 (16.4%) 、2057 CVイベント、 1412 MI、1281 卒中、 1213 うっ血性心不全入院
ベースラインのナトリウム尿中排泄 4〜5.99 g/日を参照値(n = 14 156; CV死 6.3% , MI 4.6% , 卒中 4.2% , うっ血性心不全入院 3.8%)として、ベースラインで高値の場合 CVリスク増加と相関(9.7% for 7-8 g/day; hazard ratio [HR], 1.53; 95% CI, 1.26-1.86; and 11.2% for >8 g/day; HR, 1.66; 95% CI, 1.31-2.10), MI (6.8%; HR, 1.48; 95% CI, 1.11-1.98 for >8 g/day), 卒中 (6.6%; HR, 1.48; 95% CI, 1.09-2.01 for >8 g/day), うっ血性心不全入院 (6.5%; HR, 1.51; 1.12-2.05 for >8 g/day)
ナトリウム排泄は、多変量解析にて、CV死亡リスク増加(8.6%; HR, 1.19; 95% CI, 1.02-1.39 for 2-2.99 g/day; 10.6%; HR, 1.37; 95% CI, 1.09-1.73 for <2 g/day),うっ血性心不全入院(5.2%; HR, 1.23; 95% CI, 1.01-1.49 for 2-2.99 g/day)
推定カリウム排泄 <1.5g/日(n = 2194; 6.2% with stroke)に比べ、高カリウム排泄は以下のリスク減少と相関(4.7% [HR, 0.77; 95% CI, 0.63-0.94] for 1.5-1.99 g/day; 4.3% [HR, 0.73; 95% CI, 0.59-0.90] for 2-2.49 g/day; 3.9% [HR, 0.71; 95% CI, 0.56-0.91] for 2.5-3 g/day; 3.5% [HR, 0.68; 95% CI, 0.49-0.92] for >3 g/day)
レビュー:塩と健康・世界の減塩プログラム2009年 05月 28日
”なんでも減塩に対し疑問” 非高血圧:尿中ナトリウム排泄低下は心血管死亡リスク増加と関連 2011年 05月 05日
病院基準食の食塩量変更が必要と思う。
by internalmedicine | 2011-11-23 10:03 | 動脈硬化/循環器