適当飲酒の冠動脈疾患減少効果はHDLによるものではない

アルコールによるHDL3増加作用ってほんとに鈎動脈鉱化作用があるのだろうか・・・という疑問は昔から有ると思う。

Controlling for High-Density Lipoprotein Cholesterol Does Not Affect the Magnitude of the Relationship Between Alcohol and Coronary Heart Disease
Circulation. 2011; 124: 2296-2302 Published online before print October 31, 2011, doi: 10.1161/​CIRCULATIONAHA.111.036491

Cohort of Norway (CONOR) study

149 729 名の成人(1994-2003)、アルコール量はアンケート、HDL測定
Cox回帰にて、冠動脈疾患死亡男性補正比例ハザード比は、無・希飲酒比較で週1回以上の場合  0.52 (95% 信頼区間, 0.39–0.69) 。HDLを含めた回帰モデル後も変化認めず、ハザード比 0.55 (0.41–0.73)
女性では、それぞれ 0.62 (0.32–1.23) と0.68 (0.34–1.34)

故に、血中HDL値はアルコール中等量摂取・冠動脈関係の説明要素とはなり得ない。


アルコール適正摂取による冠動脈疾患への好効果が”適量のアルコールは善玉のHDLを増やす”ためという説明は今後できない。

by internalmedicine | 2011-11-26 09:35 | 動脈硬化/循環器  

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