終末期は“胃ろうせずも選択肢”:老年医学会ガイドラインやっと着手

google newsのタイムスタンプ見るとNHKが一番早かったようだ。

NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111204/t10014397421000.html

国際医療福祉大学の鈴木裕教授が、「胃ろうは栄養状態をよくし、生存期間を延ばすが、認知症の末期患者など回復が不可能で患者の利益とならない場合は、本人や家族の意向を踏まえ見直しや中止の検討も必要だ」と述べました。また、終末期医療に詳しい東京大学法学政治学研究科の樋口範雄教授は「いかに生き、死ぬかという問題は、法律ではなく倫理と個人の問題だ。胃ろうを行うことが患者のためになるかどうか、医師と患者が話し合いを行うプロセスをまとめた指針を作ることが必要だ”米国ナーシングホームでの進行期認知症への、緩和的ケアへの対応は不十分で、死因は感染症と嚥下問題が主”、”ナーシングホーム在居認知症進行期の死亡率検討し、6ヶ月で半数以上が死亡し、肺炎、熱性エピソード、食事の問題が死因として多い」と述べました。


"人工栄養法、導入しない選択肢も示す 厚労省が指針案"って偉そうなのだが・・・

内容は同意。

ただ、社団法人日本老年医学会が、”胃ろう”の生命倫理面の問題にやっと着手するぞという話らしい。2001年老年医学会は”高齢者の終末期の医療及びケア”に関する立場表明してから随分立つ。10年間何やってたんだろう。どうせ出てくるガイドライン・・・欧米のガイドラインの丸写し/勝手な意見の混合・・・エビデンスをもとめたまともな治験なんてされてないわけだから・・・

進行期認知症の経管栄養問題 2006年 12月 11日に書かれてるごとく、既に諸外国では比較的議論はまとまっている。日本が遅すぎるのだ!

Rethinking the Role of Tube Feeding in Patients with Advanced Dementia Muriel R. Gillick, M.D. N Engl J Med 2000; 342:206-210January 20, 2000

この報告からいったい何年たってると思ってるのか! 

日本の専門家たちは経管栄養・胃瘻に関する生命倫理議論を避けてきた。
倫理的問題に関して先延ばしし続ける方が、非倫理的。

身体拘束にはうるさい人たち(元官僚の大学教授などが代表)が強制的経管栄養・経腸栄養には寛容なのは謎。

なお、NHCAPでも生命倫理が考慮されている。



終末期の人工栄養補給、中止可能に…学会指針案
読売新聞
高齢者の終末期における胃ろうなどの人工的水分・栄養補給は、延命が期待できても、本人の生き方や価値観に沿わない場合は控えたり、中止したりできるとする医療・介護従事者向けの指針案が4日、東京大学(東京・文京区)で開かれた日本老年医学会のシンポジウムで発表 ...
終末期は“胃ろうせずも選択肢”


朝日新聞
一般からも意見を募り、日本老年医学会が来春にも指針として完成させ、医療・介護現場で活用してもらうことを目指す。 代表的な人工栄養法で、おなかの表面に穴をあけて胃に管を入れて栄養を送る「胃ろう」は現在、推定40万人が導入している。高齢者ケアの現場では、 ...



cf.)経管栄養をしたがる病院の特性:大きな病院、営利追求型病院2010年 02月 10日

NHKの記事に書かれてる"東京大学法学政治学研究科の樋口範雄教授"の話の内容・・・このほぼ同じ
 ↓
認知症進行期の臨床経過:感染症・熱性疾患・嚥下問題が主な死因、緩和ケア不十分 2009年 10月 15日米国ナーシングホームでの進行期認知症への、緩和的ケアへの対応は不十分で、死因は感染症と嚥下問題が主”、”ナーシングホーム在居認知症進行期の死亡率検討し、6ヶ月で半数以上が死亡し、肺炎、熱性エピソード、食事の問題が死因として多い

法学の教授がこの方面の話をするときって、自ら一次資料となる研究をするのではなく、やっぱり、論文の丸写しなんだ。こういう人たちが行政の方向性を決めていくのだと思うと・・・日本という国の底の浅さを思い知る。



NHK一応魚拓
http://megalodon.jp/2011-1205-1407-39/www3.nhk.or.jp/news/html/20111204/t10014397421000.html

by internalmedicine | 2011-12-05 11:08 | 終末期ケア  

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