乳がん検診:開始後7-10年は、ネットでは有害性の方が大きい

乳がん:カナダ予防医学・特別委員会:40代のマンモグラフィー検診行うべきでない 2011/11/22
マンモグラフィー検診って実は役立ってない? 2011/07/29

さらに乳がん検診に関してネガティブな報告。

UKの乳がん検診をリードしていたForrest報告(1986)は乳がん死亡率を1/3ほど減らし、低コスト・有害性小というのであったが、検診に関する多くの有害性、特に偽陽性、過剰診断に関わる問題。最近のCochraneレビューで、死亡率減少効果が少なかったことなど再検討がなされている。
Rffertyらは、50歳以上、8つのトライアル、10万人のデータを用いて累積QALYsgained(20年)が推定より半分程度(3310→1536)で、Forrest報告の死亡率化粧効果からCochraneレビュー報告に基づき推定すると、さらに834へ減少した。さらに、検診によるQALYsは7年でnegativeで、 10年で70QALYsのみ。

Rafferty J, Chorozoglou M "Possible net harms of breast cancer screening: updated modelling of Forrest report"
BMJ 2011; DOI: 10.1136/bmj.d7627. (pdf)


20年間ネット累積QALYs gained推定で、3301から1536となり、半減よりやや多い程度。
Cochraneレビューのベスト推定にて、検診開始7年ほどnegativeなQALYsとなり、10年後に70QALYs、20年後に834QALYs。Sensitivity analysis で、10年ほどまでは十分な根拠であることが示された。


この解析では、乳がん検診開始10年間では、ネットでの有害性を生じる可能性がある


QALYs 質調整生存年(Quality Adjusted Life years):経済評価を行う際に、評価するプログラムの結果の指標として用いられる。単純に生存期間の延長を論じるのではなく、生活の質(QOL)を表す効用値で重み付けしたものである。QALYを評価指標とすれば、生存期間(量的利益)と生活の質(質的利益)の両方を同時に評価できる。効用値(utility)は完全な健康を1、死亡を0とした上で種々の健康状態をその間の値として計測される。たとえばAという治療をうけた場合、5年間生存期間が延長すると仮定し、その後の効用値0.8とすると、QALYは5(年)×0.8=4(QALY)となる。 (http://canscreen.ncc.go.jp/yougo/08.html)

QALYの算出など・・・
医療経済評価《第3弾・実践編》(福田敬) 第15回CSPOR・CRCセミナ―(2007/9/23~24)
無断リンク:http://www.csp.or.jp/cspor/upload_files/arch_71.pdf

by internalmedicine | 2011-12-09 11:06 | がん  

<< HPSトライアル後続報: スタ... CDC結核ガイドライン改定: ... >>