HDLを上げる新しい高コレステロール薬 torcetrapib
2004年 04月 08日
火照りがひどくてニコチン酸など実際使えない薬だったわけで、HDLコレステロール増加は実質上無かったわけですから・・・この臨床的意味づけは今後の課題だと思いますが
Effects of an Inhibitor of Cholesteryl Ester Transfer Protein on HDL
NEJM Volume 350:1505-1515 April 8, 2004 Number 15
torcetrapib連日120mg投与でHDLをatrorvastatin投与を加えた場合、加えない場合、61%、46%増加させる。TorcetrapibはLDLをatrorvastatinコホートで17%低下。
HDL・LDLサブクラスの変化をもとらす。
<解説>
ちょいと調べてみるとCETPのtransferメカニズムも結構いろいろありそうですね。
代謝の参考スライド
HDLコレステロール・エステル(CE)の選択的取り込みについて前のスライドで説明したが、
血中のCE転写蛋白(CETP)を含むコレステロール輸送の逆の動きをする(逆転送)、もうひとつ重要。
CETPにより、CEはHDLから、VLDLやLDL類といったapo-B含有蛋白へ転送される。
※ゆえにCETPを抑制すると、apo-Bを含むVLDL、LDLは供給をうけられなくて、HDL↑、LDL↓ってことになるわけです。
<やや簡単に解説>
HDLという袋の中に、中性脂肪(トリグリセロール)や、遊離したコレステロールやエステル化したコレステロールが入っていて、袋の表面にapoA-I蛋白という袋の目印が入っている。
LDL(図 図)にも同様に膜表面にapoB-100蛋白があるわけです。
しかしながら、働きが違っているわけです。HDL3はHDL2にリモデリングという形で遊離コレステロールがLCAT(レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ)の作用でエステル化CEが次第に増加し成熟していく過程で、肝外組織やLDLから、コレステロールを受け取り、お掃除の役割を果たすわけです。
故に、非常に簡単な説明としてHDLは善玉、LDLは悪玉となるわけですが・・
by internalmedicine | 2004-04-08 16:39 | 動脈硬化/循環器