降圧利尿剤治療:22年フォローアップ生存率延長効果確認 ;HCTZの話ではない

これはクロルタリドン(クロルサリドン表記もある・・・)の話で有り、合剤などに使われているHCTZ(ヒドロクロルサイアザイド)の話ではない!

エビデンスに基づく利尿剤使用と異なる血圧治療の現状:米国医者も日本同様アホ 2011年 04月 02日
EBM重視と言いながらクロルタリドンよりHCTZ利用・・・答えは、みんなが処方するから・・・・ 2010年 11月 13日


・・・と、書いても、 各医師会向け講演会では、いんちきがまかり通るんだろうなぁ・・・



Systolic Hypertension in the Elderly Program (SHEP) trial(1985-1990)で、クロルタリドン ベースのステップケア治療の結果、プラシーボ比較で、心血管イベント軽減が示されたが、死亡率低下は示されてなかった。

22年後の生存率改善効果がみられたという報告。

Association Between Chlorthalidone Treatment of Systolic Hypertension and Long-term Survival
JAMA. 2011;306(23):2588-2593. doi: 10.1001/jama.2011.1821

60歳以上、ISH(収縮期高血圧症)、SHEP 長期フォローアップ
4.5年のトライアル終了時、すべての患者にactive therapy継続を勧めた。

【結果】 22年フォローアップで、余命増加を生存曲線カーブの面積で表現すると、active治療群 (n=2365)、プラセボ群(n=2371)で 全原因死亡率 105日間 (95% CI, −39 to 242; P = .07)、 心血管死亡で158日 (95% CI, 36-287; P = .009)の差。

active治療の各1ヶ月で約1日に相当するとされる。

active 治療群は、プラシーボ比較で心血管死亡なし生存高くなった(hazard ratio [HR], 0.89; 95% CI, 0.80-0.99; P = .03) が、全原因死亡率は同等  (HR, 0.97; 95% CI, 0.90-1.04; P = .42)

active治療群では1416死亡数(59.9%)で、プラシーボ群では1435死亡数 (60.5%) (log-rank P = .38, Wilcoxon P = .24)
心血管死亡はactive治療群でプラシーボ群より低少ない  (669 deaths [28.3%]) vs t 735 deaths [31.0%]; log-rank P = .03, Wilcoxon P = .02)

生存率70パーセンタイルまでの時間は、全原因死亡率で、0.56年(95% CI, −0.14 to 1.23)プラシーボより長い (11.53 vs 10.98 years; P = .03)、そして、心血管死亡に関して、1.41 年間(95% CI, 0.34-2.61; 17.81 vs 16.39 years; P = .01) 長い。

【結論】SHEPトライアルにて、クロルタリドン・ステップ法による収縮期高血圧症治療4.5年は、22年フォローアップ後の生存期間延長に寄与する。


by internalmedicine | 2011-12-21 08:26 | 動脈硬化/循環器  

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