警察官の睡眠障害、健康、安全の問題

警察官の睡眠障害、健康、安全の問題

Sleep Disorders, Health, and Safety in Police Officers
JAMA. 2011;306(23):2567-2578. doi: 10.1001/jama.2011.1851

北米警官の横断的・前向きコホート研究

4957名のうち、40.4%少なくとも一つのsleep disorderあり、多くは以前診断されてなかった。
総コホートのうち、1666(33.6%)が閉塞型無呼吸陽性
281(6.5%)が中等症から重症の不眠
269(5.4%)がshift work disorder(night shift 14.5%)

傾眠傾向スケール完遂4608名中、1312(28.5%)がexcessive sleepiness(異常ねむけ)
総コホートのうち、1294(26.1%)がひと月に1回は運転中いねむり経験をもつ。
閉塞型無呼吸あるいはsleep disorderの検診陽性者は、糖尿病、うつ、心血管疾患を含む身体的・メンタル的な健康状態の頻度高い。
月ごとフォローアップ2年までの解析にて、睡眠障害スクリーニング陽性 vs 非該当
・ 重篤な行政上の過誤  (17.9% vs 12.7%; adjusted odds ratio [OR], 1.43 [95% CI, 1.23-1.67])
・ 運転中いねむり (14.4% vs 9.2%; adjusted OR, 1.51 [95% CI, 1.20-1.90])
・ 疲労のための過誤・安全基準違反  (23.7% vs 15.5%; adjusted OR, 1.63 [95% CI, 1.43-1.85])
・被疑者への自省の効かない易怒を含む他の職務上の負のアウトカム (34.1% vs 28.5%; adjusted OR, 1.25 [95% CI, 1.09-1.43]),
・ 常習的欠勤 (26.0% vs 20.9%; adjusted OR, 1.23 [95% CI, 1.08-1.40])
・ 会議中居眠り (14.1% vs 7.0%; adjusted OR, 1.95 [95% CI, 1.52-2.52])



時折、警察官の居眠り事故を疑う新聞記事をローカル欄で目にすることがある。そんな中に、睡眠障害による居眠り事故どのくらい隠されてるのだろうと思うことがある。

日本の国土交通省の睡眠時無呼吸症候群や睡眠関連疾患への取り組みってかなりおかしい.
新幹線いねむり事故(2003年2月26日)以降、国土交通省は運転業務者へのスクリーニングを必要かつ充分に行ってきたか?と、問うてきたが、なにも動きが見えない。

国土交通省は職務上、その職員や関連団体も車の運転することがある。そうなると、確率的にSDB(睡眠障害)性の事故も起きているはずである。警察関連行政も同様であるが、自ら、SDBに対して積極的に対応しているようには見えない。

行政に関わる側が率先して、睡眠に関わる病態に関してスクリーニングすべき。

鉄道運転手の睡眠呼吸障害とQOL ・・・皆さん5年前の事故覚えているだろうか? 2008年 08月 02日

労働行政:閉塞型無呼吸症候群への“8週以上の病欠と永続的業務不能”への影響 2008年 12月 01日

by internalmedicine | 2011-12-21 09:22 | 医療と司法  

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