敗血症死亡患者:免疫抑制状態
2011年 12月 21日
Boomerらは、敗血症とホスト免疫変化の関連を評価。
生化学的、 フローサイトメトリー、 免疫組織化学所見を検討
Immunosuppression in Patients Who Die of Sepsis and Multiple Organ Failure
JAMA. 2011;306(23):2594-2605. doi: 10.1001/jama.2011.1829
敗血症と対照患者の平均年齢は 71.7 (SD, 15.9) and 52.7 (SD, 15.0)
敗血症ICU日数中央値は 8 (range, 1-195 days)、一方対照の方は 4日以下
敗血症期間中央値は、4 日間 (range, 1-40 days)
対照と比較して、5時間時点で、抗-CD3/抗-CD28-刺激脾臓細胞によるサイトカイン分泌減少を認めた。
・ tumor necrosis factor, 5361 (95% CI, 3327-7485) pg/mL vs 418 (95% CI, 98-738) pg/mL
・ interferon γ, 1374 (95% CI, 550-2197) pg/mL vs 37.5 (95% CI, −5 to 80) pg/mL;
・ interleukin 6, 3691 (95% CI, 2313-5070) vs 365 (95% CI, 87-642) pg/mL
・ interleukin 10, 633 (95% CI, −269 to 1534) vs 58 (95% CI, −39 to 156) pg/mL; (P < .001 for all)
5時間のLPS刺激サイトカイン分泌減少は同様
敗血症患者のサイトカイン分泌は、一般的に対照より10%減少し、年齢、敗血症期間、ステロイド使用、栄養状態とは独立した関係であった。
脾臓と肺の間に差があるが、フローサイトメトリー解析にて、選択的な抑制性受容体・リガンドの過剰発現、suppressor cell populationの増加が両臓器で見られた。
敗血症 vs がん患者 vs 移植ドナーから分離された免疫細胞内のcellular inhibitory molecular expressionのユニークな差が存在した。
免疫組織化学染色により、脾臓のCD4、CD8、HLA-DR細胞の広汎な消失と、肺上皮細胞の抑制系受容体のリガンド発現が見られた。
敗血症ICU死亡患者は他原因死患者比較で、免疫抑制状態に一致した生化学的、フローメトリー的、免疫組織化学所見である。
ターゲット化免疫促進療法が敗血症患者で有効な治療方法となるのかもしれない。
by internalmedicine | 2011-12-21 23:30 | 感染症