肝がん早期発見のための定期スクリーニング治験の妥当性

日本の”慢性肝炎診療のためのガイドライン”(平成19年)では、”腹部エコー検査は肝細胞癌の早期発見に最も役立ち,原則として慢性肝炎では6 ヵ月毎の,ハイリスクグループである肝硬変では3 カ月毎の熟練した術者による丹念な検査が必要である.また,早期発見のためには定期的なヘリカルCT やダイナミツクMRI による検査も有用である.腫瘍マーカーではAFP,PIVKAII,AFP 高値の場合のAFP 一レクチン(L3)分画の測定が肝細胞癌の早期発見に有用である.”と書かれているが、Hepatologyの記載はちょっと違う。肝硬変ですら、腹部エコーや腫瘍マーカー定期検査によるアウトカム改善エビデンスは確立してないという記載がある。

(日本の臨床ガイドラインというのは、欧米の直輸入が多く、時折、エビデンスに基づかない著作者たちの創作記述が入り込むのはよくあること・・・あぁ情けない)

故に、エビデンス確立のため、ランダム化トライアルが必要・・・となるのだが・・・インフォームド・コンセントが必要な臨床治験・・・簡単にはいかない。

Feasibility of conducting a randomized control trial for liver cancer screening: Is a randomized controlled trial for liver cancer screening feasible or still needed? (pages 1998–2004)
Hossein Poustchi, Geoffrey C. Farrell, Simone I. Strasser, Alice U. Lee, Geoffrey W. McCaughan and Jacob George

Article first published online: 24 AUG 2011 | DOI: 10.1002/hep.24581


肝細胞がんスクリーニングは臨床の場で通常行われ、これはガイドラインでも推奨されていることである。しかし、この有効性エビデンスに関して議論がある。

肝硬変患者へのHCCサーベイランスとフォローアップに関し、ランダム化対照治験を行い臨床的アウトカム検知にすることの妥当性を検討

3つの大学病院での肝臓クリニック受診肝硬変患者対象
6ヶ月毎の超音波と3ヶ月毎の血中AFP
205名の患者のうち、204(99.5%)をランダム化するも、181(88%)が非ランダム化スクリーニングプログラムを選択。10%がad hoc (個別)スクリーニングを含む典型的な通常ケアを好み、2名が選択せず。
英語コミュニケーションスキルがある176名の内、160(91%)が非ランダム化スクリーニングを好み、通訳必要な対象では22/29(76%)が非ランダム化を好む(P < 0.026)。

非ランダム化173名、平均13.5±6.04ヶ月フォローアップのうち、HCC発症3名、2名が非肝臓関連で死亡、1人が肝不全による肝移植
通常ケア21名中18名がad hocスクリーニングを受けた。
被験者の大多数は、情報提供に偏りがないと信じているとdecision aid (DA)の質の調査が同時に行われた。
結論:肝細胞がん兼任に対するRCTは理論的に有効性、効率性、コスト効果確認には理想的であるが、同意を求められた患者はサーベイランスの方を好む。
HCCスクリーニングランダム化研究は、情報提供・同意が付与された場合、実施上適さない状況となる。 (HEPATOLOGY 2011;)

by internalmedicine | 2011-12-26 09:47 | 消化器  

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