重症患者への下肢静脈血栓予防目的低分子量ヘパリン 死亡率低下効果認めず

日本でも、低分子量ヘパリン:クレキサン皮下注が、特定の手術症例を限定して健保適応となっている。

以下の報告は、現行の日本の保険適応対象者とは、被検対象が異なる・・・注意して欲しい。


血栓予防は、急性重症患者の静脈性血栓塞栓頻度を減少させる。しかし、これが全原因死亡率減少につながるかは不明であった。

Low-Molecular-Weight Heparin and Mortality in Acutely Ill Medical Patients

Ajay K. Kakkar, M.B., B.S., Ph.D., Claudio Cimminiello, M.D., Samuel Z. Goldhaber, M.D., Rajiv Parakh, M.D., Chen Wang, M.D., Ph.D., and Jean-François Bergmann, M.D. for the LIFENOX Investigators

N Engl J Med 2011; 365:2463-2472December 29, 2011


二重盲検プラシーボ対照化ランダム化トライアル
皮下enoxaparin (40 mg /日)をプラシーボと対照比較

中国、インド、韓国、マレーシア、メキシコ、フィリピン、チュニジアでの重症患者
8307名を、ランダム割り付け:
・介入:enoxaparin plus elastic stockings with graduated compression (4171 名)
・対照:placebo plus elastic stockings with graduated compression (4136 名)
ITT解析

30日目の全原因死亡率: enoxaparin群 4.9% vs プラシーボ群 4.8%(risk ratio, 1.0; 95% 信頼区間 [CI], 0.8 to 1.2; P=0.83)
大出血率: enoxaparin群 0.4% vs プラシーボ群 0.3%  (risk ratio, 1.4; 95% CI, 0.7 to 3.1; P=0.35)


死亡率だけの比較だが、心血管疾患合併症などの比較は?

by internalmedicine | 2011-12-29 10:02 | 集中・救急医療  

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