食べ過ぎ:食事組成による影響 :カロリー=脂肪量、 蛋白組成=エネルギー消費&除脂肪体重

過食とエネルギー消費に関わる食事構成成分の影響は分かってないのに、テレビ・クイズ番組などでは、なんたら成分があるとやせる・・・みたいな非科学的事象が踊っている

この報告は、低・通常・高レベルのたんぱく食を含む過食状況で、それぞれの蛋白レベルで、どのように、体重増加、エネルギー消費、体組成への影響を与えるか検討したもの。


Effect of Dietary Protein Content on Weight Gain, Energy Expenditure, and Body Composition During Overeating
A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2012;307(1):47-55. doi: 10.1001/jama.2011.1918

25名の米国健康体重安定(BMI 18-30)男女ボランティア(18-25歳)単盲検ランダム化対照化トライアル

体重安定化ダイエット13-25日摂食後ランダム化
食事の種類
・ 5% of energy from protein (low protein)
・ 15% (normal protein)
・ 25% (high protein)
入院メタボリックユニット滞在10~12週滞在の最終8週間過食介入

体重安定介入期に比較して、蛋白食はエネルギー摂取の40%ほどで、954 kcal/d(95%CI, 884-1022 kcal/d)に相当


過食による体重増加に関し、通常蛋白食・高蛋白食群に比べ、低タンパク食群の方が体重増加低下   (3.16 kg; 95% CI, 1.88-4.44 kg vs 6.05 kg; 95% CI, 4.84-7.26 kg) or 6.51 kg; 95% CI, 5.23-7.79 kg) (P = .002)

3蛋白食群すべてで、体脂肪増加あり、過剰蓄積カロリー50%~90%超程度。

低蛋白・過剰食事投与群では、安静エネルギー消費、総エネルギー消費、体蛋白は増加せず
一方、通常蛋白食・過剰食投与群では、安静エネルギー消費 (通常蛋白食: 160 kcal/d [95% CI, 102-218 kcal/: 2.87 kg [95% CI, 2.11-3.62 kg]; 高蛋白食: 3.18 kg [95% CI, 2.37-3.98 kg]) は有意に増加


結論としては、コントロール下で、カロリーは単純に脂肪蓄積増加と関連する。
蛋白組成の中身は、エネルギー消費と除脂肪体重蓄積と関連するが、体脂肪蓄積とは関連しない。


低蛋白食の場合、除脂肪組成(主に筋肉)での消費が節約され、代謝的に非効率となるが、一方高タンパク食の場合は、除脂肪体重(主に筋肉)で消費されることになる、metabolic inefficiency、 “wasting” of caloryという機序が関わり、体組成に影響を与える可能性があるということで、なされた研究・・・という趣旨が、序文に書かれてると思う。

「”食べ過ぎの状況は一緒だけど、その中身が高蛋白比率の時は筋肉でエネルギー消費が増大し、低蛋白比率のときエネルギー節約的になる故に、体組成に変化が見られるはずだ”」という趣旨の論文。

by internalmedicine | 2012-01-04 10:03 | 糖尿病・肥満  

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