年間の1秒量低下が激しい場合・・・吸入ステロイド無効


“スパイログラムでの肺活量や1秒量による評価が不可欠であり、日本でのCOPDの実数は過小評価されているのが実態です。そのスクリーニングのためには、開業医の先生方へのスパイログラムの普及が急務と考えています。”
http://www.hosp.tohoku.ac.jp/department/ipi_s.html

だそうですが、

私のところの近隣でごくごく一部を除いてスパイロメトリー評価をされたという患者さんはきわめて少ないです。
若い勤務医で病院からの紹介で見ることが多くなってきましたので少々かわってきましたでしょうか?

まあなんにせよ、スパイロメトリーを経年的に1秒量変化をみると、それを治療にどういかすかとかんがえるのは当然なのでしょう。あまりに落ち込みがひどい場合気道の炎症を抑えるため早期に吸入ステロイドを使用したくなります。

それが意味があるかどうか?・・・・答えはNoのようです。
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Efficacy of Inhaled Steroids in Undiagnosed Subjects at High Risk for COPD
Chest. 2004;126:1815-1824
http://www.chestjournal.org/cgi/content/abstract/126/6/1815
FEV1が年間80mlを超えて減少する対象者で、以前喘息もCOPDも診断されてない対象者

2年間ランダム化対照二重盲検臨床治験をfluticasone propionate(250μg:bid)使用とプラセボで比較
31ヶ月後拡張剤使用後FEV1の有意差無し、自覚症状、急性悪化、QOLも歳無し。
治療の方を好むという傾向はあった。
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<余談>
文章をみるとわかるのですが、COPDと喘息を明確に分けてませんね。
acute respiratory failure:急性呼吸不全と書いてあって実はCOPDの気道感染などによる慢性呼吸不全の急性悪化と書いてあったりする。日本人ほどこまかく分けない論文が目立ちます。

by internalmedicine | 2004-12-15 15:05 | 呼吸器系  

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