心筋梗塞後血中カリウムと死亡率U字型関係 ・・・ 観察研究結果 解釈は慎重に

急性心筋梗塞後の血中カリウム濃度と死亡率のU字型関連

Goyal A, Spertus JA, Gosch K, et al. Serum potassium levels and mortality in acute myocardial infarction. JAMA 2012; 307: 157-164

カリウム濃度 3.5 ~ <4.0を比較対照とし、死亡率は

・ 4.0 ~ <4.5 死亡率 (5.0%; 95% CI, 4.7%-5.3%), 多変量補正オッズ比 (OR), 1.19 (95% CI, 1.04-1.36)

・ 4.5 ~ <5.0 死亡率 10.0%; 95% CI, 9.1%-10.9%; 多変量補正 OR, 1.99; 95% CI, 1.68-2.36)、高カリウム層別化においてさえ増加

・<3.5 でも死亡率増加

心室粗動・心停止率は <3.0 mEq/L未満、 5.0 mEq/L以上で高率 



1990年代の小規模観察研究をベースとした、急性心筋梗塞ガイドラインでは、心房粗動や師根石リスク減少のため、血中カリウム濃度を 4.0から5.0 mEq/Lに維持するよう推奨されている。

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http://www.theheart.org/article/1338913.do#bib_1

この解説だと、観察研究の限界と、"misclassification bias”などの問題が指摘されている。
即、ガイドラインにストリクトな血中カリウム濃度調整基準が掲載されることはかえって危険な場合もあるかもしれない。

この知見が暴走することもまた好ましいことではないようだ・・・

by internalmedicine | 2012-01-11 08:40 | 動脈硬化/循環器  

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