腹腔鏡下直腸S状結腸癌切除も慎重に!開腹と変わらない部分も

泌尿器科の先生が経験の未熟なまま、腹腔鏡下の手術をした後転帰が悪くなった事件がありましたが、
直腸S状結腸癌切除に関しても、より慎重であるべきという結果の論文がLancetに掲載されてます。


腹腔鏡下切除:前向きランダム化試験
Lancet 2004; 363: 1187-92
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1993年9月21日~2002年10月21日まで、403名の直腸S状結腸癌のランダム化して腹腔鏡下(203名)か開腹(200名)に区別。ITT分析。

治癒切除後、5年生存率:腹腔鏡下 76.1%、開腹 72.9%
5年間疾患フリーの可能性:腹腔鏡下 75.3(3.7)%、開腹 78.3(3.7)%
手術時間は有意にlaparoscopicな場合の方が長い、ただし、手術後開腹は有意に腹腔鏡の方が良好、だが、かなり高いコストの上に成り立つ。
distal margin、切除標本のリンパ節数、総合併症、手術死亡率は両軍とも差がなかった。

結局、生命予後を改善するわけでも無し、疾患コントロールを良くするわけでもないし、腹腔鏡の適応の正当化は手術後の短期的アウトカムの改善の有効性で判断せよ。
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by internalmedicine | 2004-04-09 16:58 | 消化器  

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