Evidence Biased Medicine(H15.5.30 再掲)
2004年 12月 21日
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製薬会社スポンサーの治験・報告というのは、もともとかたよってるということを認識すべし(製薬会社のはEvidence Biased Medicneだ)
製薬会社がスポンサーであるいろんな治験が公表されておりますが、それって問題がないのかということで、システミックレビューがなされております。
比較対象の選択、出版バイアスにより偏っているという結論です。
“製薬会社のスポンサーシップと研究結果・質のシステマティック・レビュー
Pharmaceutical industry sponsorship and research outcome and quality: systematic review
BMJ 2003;326:1167-1170 (31 May)
【目的】製薬会社がその資金提供源である薬剤研究の結果が、その製薬会社に好ましい結論と関連があるか、薬剤会社による資金提供によるトライアルの方法が、その他の研究方法と異なるかを検討した。
【方法】Medline (January 1966 to December 2002) とEmbase (January 1980 to December 2002)で検索したものをレファレンスや著者の個人ファイルから補完。データを3人の著者によりアブストラクトを作り、コンセンサスを得て非一致点を無くした。
【結果】30の研究を含む。製薬会社資金源の研究は他の資金源より出版される事がすくない。薬剤会社スポンサーの研究は他の形態のスポンサーをとっている
研究に比べスポンサーよりの結論である。 (odds ratio 4.05; 95% confidence interval 2.98 to 5.51; 18 comparisons).
(http://bmj.com/cgi/content/full/326/7400/1167/FIG2 ←みごとにスポンサー寄りです)
解析方法が報告されている13研究のうちどれもメーカーの資金源研究がより質が低いと報告しているのではない。(http://bmj.com/cgi/contentnw/full/326/7400/1167/TBL3)
【結論】システム・バイアスが研究資金を出している会社の製品に生じやすい。
不適切な比較対象製品の選択や出版バイアスが関係していると説明できる。
製薬会社のSSRIの新規薬剤としての報告を例に出版物が如何にかたよってるかを示した論文
↓
製薬会社スポンサーの研究の(意図的に)選択された研究:新薬適応時の研究のレビュー
Evidence b(i)ased medicine selective reporting from studies sponsored by pharmaceutical industry: review of studies in new drug applications
BMJ 2003;326:1171-1173 (31 May)
【目的】製薬会社スポンサーによる重複出版、意図的出版、意図的なケース選別報告による発表バイアスの影響度を調査
【デザイン】major depression治療としてスウェーデンのお役所:Swedish drug regulatory authorityに提出されているSSRIの42のプラセボ対象試験を実際に発表されているものと比較。(お役所提出書類はまさかうそはつかないでしょうという・・・)
【結果】
重複出版(Multiple publication):21の研究はそれぞれ少なくとも2つの発表、3つの研究は5つの発表をしていた。
→http://bmj.com/cgi/content-nw/full/326/7400/1171/FIG1
意図的出版(Selective publication):42の研究のうち21はプラセボより有効性が高かった。有効性が示されたもののうち、19の研究は重複発表せず単独の発表。有効性が示せなかった21の研究のうち6つのみが単独発表。
#まとめた発表(pooled publication)にしてしまえば、有効性を脚色できる?
意図的なケース選別報告(Selective reporting):多くの発表でITT解析(http://www.med.nihonu.ac.jp/department/public_health/ebm/ce304.html:対象者が実際に割り付けられた治療を完結したか、あるいは実際にはじめから受けたかどうかにかかわらず、当初割り付けた群にしたがって分析し、実用的な価値を評価 )をせず、per protocol(治験実施計画書に適合した対象集団のみ)解析を報告。
#解析者の勝手が通りやすい
http://bmj.com/cgi/content-nw/full/326/7400/1171/FIG2
↑
これが提出報告書をベースにして、脱落・解析不能例をnon-responderとして解釈するITT解析と比較して過大評価を生じているものと考えられる。極端な例では、治療に反応した比率が51%出会ったケースが実はITT解析すると差がなかったという場合があった。5例においては過大評価のサイズが10-25%であった。過大評価は少数研究に多かった。
【結論】SSRIを例に、publicに手に入れられるデータから推奨品を選ぼうとすると、バイアスのあるエビデンスにもとづく恐れがある。
追加、ただ飯をことわろう?
↓
BMJ 2003;326:1155-1156 (31 May)
また、新薬説明会のときの弁当代は最終的にはだれが負担しているか考えるべきで、
No more free lunches
BMJ 2003;326:1155-1156 (31 May)
http://bmj.com/cgi/content/full/326/7400/1155
むろん、これだけでなく、いまの製薬会社の営業の経費(一般会社員からするとかなり高額な給与水準なども含め)も含め、コスト削減をさせるべきです。
これが医療機関であれば実態をしらべ、次期診療報酬の時にけずられますが、製薬会社は単に実勢取引額を参考にされるだけです。
外資系の巨大会社は、MRをかなりふやしておりますが、それが決して商品に対する安全性の流布という内容でなく、かぜ症候群→かぜ症候群に伴う下気道感染にはジ**マ*クなどとまるでかぜのときに抗生剤利用を促進するような内容が書かれているパンフレットを数多く配布するために存在しているようです。
こういった部分はかなりの医療費の無駄遣いだとおもうのです。
ALLHATやJNC-7がでても、重箱の角をつついて、サイアザイド系降圧利尿剤の欠点のみを強調し、CCBやARBなどの高価な薬剤の販売促進の手助けをしている高名な先生方がいるのには驚きます。
お偉い先生は軽々しく論理性無く一系統薬剤を推奨しないようにしてください。
by internalmedicine | 2004-12-21 16:37 | 医療一般