抗酸化ビタミンは、消化器癌を予防せず、全原因死亡率を増加させる。
2005年 01月 07日
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抗酸化ビタミンは、消化器癌を予防せず、全原因死亡率を増加させる。
Antioxidants don’t prevent GI cancers,and they increase overall mortality
http://www.ccjm.org/PDFFILES/Jan_05poem1.pdf
システム・レビュー
ベータカロチン、ビタミンA、C、セレニウムなどの抗酸化作用物質とプラセボ比較
消化管の癌の頻度
14のRCT、170525例で評価:それぞれ226-40000例の研究
食道癌・胃癌・大腸癌、膵臓癌の予防効果無し
抗酸化物質は全原因死亡率を増加(8.0% vs 6.6%)
NNH(Number need to trea to harm)であらわすと、69(95%CI 58-95)名に一人が死亡する。(抗酸化物質による超過死亡)
セレニウム(方法不明あるいは問題ある3つ)での4つのトライアルでは、消化奇形癌の発生を減少させた(オッズ比:0.49 95%CI 0.36-0.67)。
今後、セレニウムは信頼できる方法によるランダム化トライアルが必要。)
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最近、ビタミンC・Eサプリメントの有害作用報告が多くなってます。
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ビタミンCもサプリメントとして多く摂取すると有害?・・・今回は糖尿病患者のみ
・http://intmed.exblog.jp/1328956/
ビタミンE
・寿命を短くしたければビタミンE大量サプリメントをどうぞ
http://intmed.exblog.jp/m2004-11-01#1298166
・高用量ビタミンEは寿命を短くする 続編
http://intmed.exblog.jp/m2004-11-01#1323743
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サプリメント業者などの典型的宣伝文句:
“活性酸素は癌(がん)、動脈硬化、脳血栓、心臓病、アトピー、糖尿病など様々な病気の根本原因です。・・・いつでも活性酸素を取り除ける状態にしておけば、体はあまり大きなダメージを受けることはありません。そのためには、日頃から抗酸化食品を十分摂っておくことが肝心です。”
これは以下のように訂正すべきです。
“活性酸素は癌(がん)、動脈硬化、脳血栓、心臓病、アトピー、糖尿病などの病態に一部関わっている可能性があります。でも主役なのか脇役なのかわかりません。最近の研究では、抗酸化ビタミンやβカロチンなどの使用で癌の発生を促進したり、寿命を短くすることが判明しております。70名弱に1名ほどこういう物質の利用でよけいに死亡する原因をつくるわけです。
一部の研究ではまだ抗酸化物質が効果有りという報告もありますが、差を認めなかったり・発表者に有利でない場合は発表は控えることが行われている可能性も考えられ、こういう物質を利用する場合は、自らを実験台にしているということを自覚してご利用ください。日頃から、野菜・果物などを偏り無く摂取することのほうが、肝心です。”
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消化器系癌の発生頻度をふやして、寿命を短くする、一部には糖尿病を悪化させる可能性がある、そういうのをわざわざ買いますか?
加筆(H17.1.21)
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AHRQ
http://www.ahrq.gov/clinic/epcsums/aoxcansum.htm
1337の文献のうち1125を入手。2名の独立した医師がレビュー
432の臨床トライアル、メタアナリシス、報告を選択。
22のユニークなレビューでシステムレビューを含むものを採用
22トライアルのうち19がビタミンC、14がビタミンE、CoenzymeQ10は、癌予防・治療に関して報告無し
CoQ10に関しては信頼できるデータがないと言えます。
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by internalmedicine | 2005-01-07 10:11 | Quack