根拠無き反ワクチン・キャンペーンがどの程度の有害性を国民にもたらすか? 3-8万人の死者を生む
2005年 01月 17日
朝日が最近静かだなと思っていた矢先・・・
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誤)
厚労省データのでたらめ
インフルエンザ予防注射は打ってはいけない
http://www.bunshun.co.jp/mag/shukanbunshun/
↓
正)
週刊文春のでたらめ
インフルエンザ予防接種を根拠無く否定すると死亡数は8万人の可能性
文春の言うことは信用してはいけない
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が正しいです。根拠は後述。
1)ワクチン接種は増えているのに流行は繰り返されている
2)効かないことを証明した神谷研究
3)ワクチンの重篤な副作用
http://www.ne.jp/asahi/kr/hr/vtalk/infl_appeal0311.htm
が、反インフルエンザワクチン論者の典型的な反論です。
(4,5は直接ワクチンと無関係なので割愛、抗ウィルス薬に関しては一部賛同する部分も)
“インフルエンザワクチンの有効性”を“すべて否定する”のであればワクチンに関しては、諸外国を含め後述のごとき膨大なエビデンスがあります。科学的に反論をするのであれば各論文の揚げ足をとるのではなく、エビデンスレベルの高い検討、メタアナリシスなどの検討、出版バイアスの存在などを明示するべきです。これが科学者としての正しい反論方法です。一つ一つの揚げ足取りは科学的な根拠にはなり得ません。個人的な怨念としか思えないアンチ・インフルエンザワクチン・キャンペーンだらけです。
例示http://homepage2.nifty.com/sisibata/infuruenza.html
あらゆる医療処置は効果と副作用・リスクのバランスによるものです。もちろんワクチンのような予防的な処置は圧倒的な安全性が担保されなければならないものは言うまでもありません。しかし、インフルエンザ自体が生命に関わるものですから、その効果を軽視してはなりません。もちろん、年齢・リスク背景を考えないワクチン接種は問題があると思います。
http://www.cdc.gov/flu/protect/whoshouldget.htm
“まず、ワクチン否定ありき”・論拠はこじつけ では 信用できませんし、エビデンスレベルの上で納得できる記載をみたこと有りません。
逆に、根拠無き反ワクチン・キャンペーンがどの程度の有害性を国民にもたらすか?
これは、明示できるのです。
ワクチン接種阻害による被害予測がなされてます。
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○肺炎・インフルエンザ超過死亡と全原因死亡率はどの国でも相関性が高い。USでは、ほぼ一定。日本の学童接種をしていた頃はUSの3-4倍低下していた。1年間に3万7千人から4万9千人に死亡を減少させ、420名児童接種するごとに1名の死亡を防止できる。学童接種を中止したので日本の超過死亡は増加しつつある。
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http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/344/12/889
NEJM Volume 344:889-896 March 22, 2001 Number 12
○再ワクチン後死亡率は24%減少(HR 0.76 95%CI 0.70-0.83)
ワクチンが初めてな場合に比較して、1年死亡率は15%減少(0.85 95%CI 0.75-0.96)
流行時期では、28%減少(HR 0.72 95%CI 0.53-0.96)
70歳以上の老人では慢性疾患合併症の有無にかかわらず同様なことが推定された。
総合的には、ワクチンカバー率64%-74%のときに、インフルエンザワクチンは302ワクチン接種者ごとに1名の死亡を回避できる。
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Annual Revaccination Against Influenza and Mortality Risk in Community-Dwelling Elderly Persons
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/292/17/2089
JAMA. 2004;292:2089-2095.
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↑
1号介護保険被保険者2003年10月末には12%増の2420万人だそうですから、
全国で8万人の超過死亡を回避できることとなります。
上記論文をあわせ、インフルエンザ・ワクチン接種を全面的に阻止することは、たったワンシーズンで少なくとも3-8万人もの犠牲者を超過死亡で死なしてしまうことになります。
ワクチンの副作用は残念ながらゼロにはなりませんが、圧倒的な効果・リスク比があると言えるでしょう。
易に反ワクチン論にのることは危険ですし、この効果を否定するだけの科学的根拠を反ワクチン論者の方々は明示すべきです。
先週のドラマ枠でも“ワクチンは有害”などという放送がなされたそうですが、公共放送たるものがこういう無責任な有害性の可能性のある放映を行うことは法律上も問題があると思えます。週刊誌なども同様ですが、こういった一方的な情報を興味本位で掲載・放送することのリスクをかれらもそろそろ負うべきです。メディアは、自己規制を行い、真の専門家から意見をくみあげ報道すべきです。
以下・・・参照URLなど
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<有益性の根拠>
健康成人
・http://www.update-software.com/Abstracts/ab001269.htm
老人
・http://www.annals.org/cgi/content/abstract/123/7/518
COPD
・http://www.cochrane.org/cochrane/revabstr/ab002733.htm
Recurrent Myocardial Infarction
・http://circ.ahajournals.org/cgi/content/full/102/25/3039
糖尿病
・http://care.diabetesjournals.org/cgi/content/abstract/27/11/2581
死亡率
・http://www.ajph.org/cgi/content/abstract/77/6/712
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副作用のリスクは?
“重篤な問題、たとえばアレルギー反応などはきわめて稀である”
http://www.ama-assn.org/ama/pub/category/1804.html
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“必ずしも科学的評価に耐えられない多くの野外試験の成績と誤った解釈によるワクチン無効論が唱えられ、まれに起こる重篤な副作用に対する行政対応が必ずしも適切ではなかったことが強調され、更にそれらに基づく様々な誤解から生じたインフルエンザワクチン全体に対する不信感がマスメディア等によって増幅されました。その結果、1980年代後半からワクチン摂取率が急激に低下”した歴史があります。
http://www.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html
たとえば、まちがえた行政方針をとった政府の“世論に及び腰の姿勢”が麻疹輸出国のままでいることが、外国の一流雑誌に掲載されております。
http://www.thelancet.com/journal/vol364/iss9431/full/llan.364.9431.analysis_and_interpretation.30310.1
日本と同様の国際的にもQuackというべき反ワクチン集団がいます。
http://www.geocities.com/issues_in_immunization/
http://www.pathguy.com/antiimmu.htm
http://www.quackwatch.org/03HealthPromotion/immu/immu00.html
http://www.chirobase.org/06DD/chiroimmu.html
http://www.ratbags.com/rsoles/vaxliars1.htm
中身をみれば、どこかで見聞きするパターンで反ワクチン論を展開しています。
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ワクチン詐欺の誕生
http://www.mercola.com/2001/may/5/vaccination_jenner.htm
THE FRAUD OF VACCINATION
http://www.whale.to/v/hadwen1.html
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by internalmedicine | 2005-01-17 16:29 | メディア問題