性差を考慮した医療・医学・・・米国肺ガンの疫学調査
2004年 04月 14日
#Gender freeという概念は・・・・アホではないかと・・・・Gender-specificが正しい。
具体例として肺ガンの男女差なんですが・・・こういう性質を含めて肺ガンの検診・診断・治療を以前からしているので別にまあたらしいことではないのですが、そういう視点も重要です。昨今では、イレッサという肺ガン治療薬が女性腺癌によく効くということもgender-specificであります。
Lung Cancer in US Women A Contemporary Epidemic
JAMA. 2004;291:1763-1768.
肺癌は米国の女性の中の癌死の主要な原因で、乳癌および全生殖器系の癌をあわせたのと同じ程度。ほとんどの肺癌はたばこ煙によって引き起こされます。全女性にたばこの破滅的影響はよく知られているにもかかわらず、アメリカの女性の4分の1はたばこを吸い続けます。女性はタバコ広告の対象であり、10代の女性で、社会的抑圧下で喫煙という描写がよく用いられます。
喫煙の増加に続いて、米国の女性の中の肺癌による死亡率は、1930年から1997年まで600%上昇しました。女性はたばこの発癌の影響は男性より敏感かもしれません。
加えて、男女間の肺ガンの生物学的相違、DNAアダクトの形成、CYP1A1表出、DNA修復能の低下、K-ras遺伝子変異の増加が女性でみられる。
肺ガンに得意なエストロゲン受容体がみられ、エストロゲン信号が腫瘍形成上の生物学的なではなかろうかと示唆。
肺ガンにおける性別特異的研究の着手は重要。
JAMA. 2004;291:1763-1768.
出典のはっきりしている男女差
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1)男性において心臓発作のもっとも一般的な警告は胸痛である。女性では、もっとも多い心臓発作の症状は説明できない、あるいは、普通でない疲労感、睡眠障害、息切れ、消化器症状、不安である。
2)1984年から、女性の心臓・血管疾患死亡数は男性を追い越した。女性50万、男性44万人が毎年死亡している。
3)女性の39%が最初の心臓発作後数週以内に死亡するが、男性では31%。
4)男性では心臓の脈を安定化する同種薬剤でも致死的不整脈を女性の方が生じやすく
(このこと?→Female gender is associated with an increased risk of torsades de pointes (TDP) in the setting of drugs that can prolong the QT interval.
5)男性より女性が痛みが強く、特に圧・電気的ショックによる痛みにそうである。しかし、女性は鎮痛薬が代謝が異なり、幾分女性の方が効果が高い。
6)女性より男性が脳のセロトニンが多く産生され、男性より女性がうつになりやすい。
7)喫煙による肺ガンのリスクは男性の2倍
7)肺ガンは男性では大きな、中枢性に発達しやすいが、女性は末梢、小さいスポットで発生しやすい。女性の方が大きくなってから症状が出現し、気づかれにくい。
8)女性は男性より卒中後、言語の回復が早い。
Sources: Dr. Marianne Legato/Columbia University; University of Arkansas-Little Rock; Cornell Medical Center, New York City; American Heart Association
by internalmedicine | 2004-04-14 15:41 | 呼吸器系