軽度肝性脳症+II型糖尿病を有する肝硬変にグルコバイを
2005年 03月 02日
─────────────────────────────────
肝性脳症(HE)は、尿素サイクル、グルタミン合成(アンモニアホメオスターシスに寄与)、門脈シャントがその原因ともされ、特に門脈系シャントの程度に応じて重要。
ラクツロースは、非吸収性の2糖類でアンモニア産生と吸収を抑える。Lactitolも同様。腹部不快を訴え、flatulenceや2型糖尿病においては高血糖を生じる。さらに、循環血流量を減らす下痢を生じ、腎不全悪化、さらには肝性脳症悪化となることがある。
Gentileらは、肝硬変と2型糖尿病の患者にacarboseが安全で有効な治療法であるとして提案した。acarboseは腸管でのブドウ糖吸収を抑制し、蛋白分解性の細菌叢過剰状態の単・2糖類への影響を促進する
Gentileらはacarbaseは肝性脳症へ利益性を有する効果があるかどうか評価している。
107名の1-2HEで2型糖尿病を有する患者にacarbose100mg ×3回とプラセボに割り当て8週間検討。2週間のwashout期間後治療をswitchし、再び8週間間擦。
アンモニアレベルは、Reitan's number connection test、intellectual function、空腹時血糖・食後血糖、糖化ヘモグロビン、Cペプチド値を2週毎に評価。
acarboseは有意にアンモニア値を改善し、Reitan's test score、intellectual functionを改善(p< .01)
空腹時血糖を33%減少させ、食後血糖をプラセボに比較して50%減少。加えて、糖化ヘモグロビン値、食後Cペプチドを基礎値に比較して低下させた。
肝機能生化学マーカーはacarbose治療後変化なし。
軽度の肝性脳症+2型糖尿病を有する肝硬変患者に、この研究に基づけば、acarboseは安全で効果的な治療法といえる。
References:
Gentile S et al: A randomized controlled trial of acarbose in hepatic encephalopathy. Clin Gastroenterol Hepatol 3:184, 2005
Stewart CA, Vella A: Acarbose treatment in liver disease: Cognitive or glycemic control (editorial)? Clin Gastroenterol Hepatol 3:108, 2005
─────────────────────────────────
安全と報告されてますが、オンブス*が騒ぎそうな意事項がありますので、ご使用の際にはご注意を!(あの馬鹿者どもに大騒ぎされて、貴重な薬剤をなくす可能性があります)
─────────────────────────────────
グルコバイ(アカルボース):
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3969003F1026_1_06/
*劇症肝炎等の重篤な肝機能障害があらわれることがある.これらは投与開始後概ね6ヵ月以内に認められる場合が多いので,投与開始後6ヵ月までは月1回,その後も定期的に肝機能検査を行うこと.
─────────────────────────────────
by internalmedicine | 2005-03-02 11:10 | 消化器