肥満を有する2型糖尿病患者への低炭水化物食の食欲、血糖、インスリン抵抗性への影響

低炭水化物食が、専門家のさまざまな注意にもかかわらず、一方的礼賛番組を作ったフジテレビ・・・がありましたが・・
http://intmed.exblog.jp/1527854


さて、今回は、肥満2型糖尿病患者への短期的効果・・>確かに、ダイエット効果はあるらしい
(炭水化物を除いたものだけ食べていると・・食欲減退するのはあたりまえ・・・なのだが・・・)

かなりメジャーの医学雑誌に掲載されたのでポジティブに評価されていると考えられると困るので・・・・批判的にご紹介します。

肥満を有する2型糖尿病患者への低炭水化物食の食欲、血糖、インスリン抵抗性への影響
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Effect of a Low-Carbohydrate Diet on Appetite, Blood Glucose Levels, and Insulin Resistance in Obese Patients with Type 2 Diabetes
http://www.annals.org/cgi/content/abstract/142/6/403
Annals of Internal Medicine 2005 142: I-44.
低炭水化物食で、平均エネルギー摂取3111kcal/d→2164kcal/dと減少

閉瞼エネルギー減少は1027 kcal/d (median, 737 kcal/d) で、14日目に1.65kg体重減少(中央値 1.34 kg).
平均24時間血糖値は正常化し、平均HbA1cは7.3%→6.8%
インスリン感受性は約75%改善
平均血中トリグリセリド、コレステロール値は減少(change, –35% and –10%, respectively).
限界:この研究は短期間で、消臭であり、厳格な対照群が欠けている
【結論】2型糖尿病肥満患者の小グループで、低炭水化物食2週間で、体重を適正化するようにエネルギー摂取の自発的減少が見られた。24時間血糖、インスリン感受性、HbA1cの改善、さらに血中中性脂肪、コレステロール値の減少をみとめた。
長期的な影響は不明。
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低炭水化物食の短期的効果は認めながら・・・長期的効果が不明であることなどで、今後の本格的検討がなされることが示唆されてます。




実はすでにAtkins食は日本でも一部臨床的におこなわれてます。
その名はケトン食(http://www.urban.ne.jp/home/nanabou/mct.htm)。でもこれはてんかんなどの使用されているわけです。臨床的に検討がなされているわけです。

これから推定される臨床的な問題点も・・
http://www.blackwell-synergy.com/links/doi/10.1046/j.1528-1157.2001.18001.x/full/
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同じ高脂肪、低炭水化物食は、てんかんを抑えるための食事として作られ、神経細胞のアシドーシスやケトーシスの影響を与えるものである。
異化ストレスや飢餓状態にて、KDで治療された患者はエネルギーとして脂肪酸代謝に重度に依存し、長鎖脂肪酸がミトコンドリアへ輸送するようカルニチンが反応し、短鎖・中間鎖脂肪酸の隔絶のためミトコンドリアに蓄積する。
カルニチン代謝に関係する問題はKD開始時と長期的な影響を与えることとなる。
KDは
KDは典型的にケトーシスを生じる状態が続く。代謝的ストレスであり、脂質利用を若干改善するか、無症候性のカルニチン欠乏を表面化する可能性がある。血中の総カルニチン(TC)やアシル:遊離カルニチン比(AFCR)は症候性低血糖のリスクが高くなる。
TCが低くなれば、ケトーシスになりにくくなり、それは脂肪酸のケトン体へのプロセスが減少するからである。

当然、慢性的なケトーシスを生じ、遊離カルニチンからアセチルカルニチンや他のアセチルカルニチン形成を増加させ、血中のAFCR増加を生じ、カルニチン減少をもたらす
腎尿細管からアセチルカルニチンは再吸収されるが、長アシルカルニチンは吸収が悪い、そのため、総カルニチン排出は増加し、長期KD治療の間に次第にカルニチン欠乏が遷延化する。
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カルニチン欠乏
http://www.emedicine.com/ped/topic321.htm
・突然死:無症状、VTやVf
・心不全:進行性の心筋症、後年に顕在化する。
・低血糖性低ケトン性脳症

by internalmedicine | 2005-03-15 11:47 | 動脈硬化/循環器  

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