CPAP治療の心血管合併症治療へのインパクトは?(睡眠時無呼吸)
2005年 03月 24日
最近は、医療関係者同士の足の引っ張り合いが目立つ気がするし・・・
そして、運輸関係などは、ねむけスコアが自主申告制なのでいまひとつ信頼性にかけるということもあり、抜本的な解決が必要と思われ・・・
この治療の医療経済的なインパクトのひとつとして、心血管合併症を介したインパクトが説明されています。ただし、否定的な報告もあり、いまひとつ、クリアカットにはいかないというのが正直なところでしょう。
Lancetの論文はいまひとつ、エビデンスレベルの低い報告ですが、長期的な影響という面で重要な論文となるのでしょう。
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Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study
The Lancet Volume 365, Issue 9464 , 19 March 2005-25 March 2005, Pages 1046-1053
264名の健康男性、377名の単純性いびき、403名の未治療中等症-重症無呼吸低呼吸、235名の未治療重症、372名の疾患+CPAP治療群を解析に含めた
未治療疾患患者は致命的な心血管イベント(1.06 / 100 人年)
非致死性心血管イベント(2.13 / 100 人年)
が、以下に比べて高い
:軽症中等症未治療(0.55, p=0.02 and 0.89, p<0.0001),
:単純性いびき(0.34, p=0.0006 and 0.58, p<0.0001),
:CPAP治療患者(0.35, p=0.0008 and 0.64, p<0.0001),
:健康参加者(0.3, p=0.0012 and 0.45, p<0.0001)
危険因子補正多変量解析では、未治療重症閉塞型無呼吸は有意に致死的、(odds ratio 2.87, 95%CI 1.17-7.51) 、非致死的心血管イベントを(3.17, 1.12-7.51)健康参加者より増加させる。
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残念ながら、長期CPAP療法そのものもまだエビデンスレベルが低いと実感。
システムレビュー(Eur Respir J 2003; 21:515-522)
降圧剤などの他の基礎治療がなされている場合、cost-effectiveである。しかし、CPAP療法の長期死亡率への影響は不明で、治療経済上の影響は小さいかもしれないという報告からやや踏み込んだ報告ということらしい。
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・昼間ねむけのない人にはQOL改善は望めない
Annals of Internal Medicien 5 June 2001 Volume 134 Issue 11 Pages 1015-1023
http://www.annals.org/cgi/content/abstract/134/11/1015
・高血圧コントロールは改善へ
Hypertension. 2000;35:144.
http://hyper.ahajournals.org/cgi/content/full/35/1/144
Am. J. Respir. Crit. Care Med., Volume 163, Number 2, February 2001, 344-348
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/full/163/2/344
・インスリン抵抗性改善
Circulation. 1999;100:706-712.
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/full/circulationaha;100/7/706
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by internalmedicine | 2005-03-24 10:15 | 呼吸器系