医師というのは経験数が多いほど、その医療の質が高くなるのか?

まじめな、勉強大好きな連中の集まる医局から医師としてスタートしたため、先輩医師には尊敬できる先生方が多いのです。
一般的にも、一般ピーポーやメディアが考えるほど不真面目な職業集団ではないと思うのですが・・・
しかし、年取ると次第に新しいことが覚えられなくなる、古いことに固執してしまうというのは医師に限らずではないでしょうか? キャリアを重ねたときほど学習が必要・・・自戒をこめて

医師というのは経験数が多いほど、その医療の質が高くなるのか?という疑問に答えたシステミック・レビュー・・・残念ながらある特定の分野ではそうでないことは確かなようです。

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Systematic Review: The Relationship between Clinical Experience and Quality of Health Care
Annals of Internal Medicine 15 February 2005 Volume 142 Issue 4 Pages 260-273
http://www.annals.org/cgi/content/full/142/4/260
【背景】より多くの経験を持つ医師は一般的に知識とスキルの集積があり、高い質のケアをもたらすと信じられてきた。しかし、エビデンスにより、医師としての経験年数と医師の供給する臨床の質に関しては逆相関がるという示唆がある。
【目的】臨床経験・年齢に関する医学知識とケアの質に関連する論文のシステミック・レビュー
【データ源】英語論文MEDLINE(1966-2004.6月の論文)
【データ】包括的には、32/62(52%)で、すべてのアウトカム評価において臨床経験年数が多いほどパフォーマンスが低下すると報告。
13/62において、経験年数が多いほどパフォーマンスが減少するアウトカムと関連のないアウトカムがあると報告。
2/62(3%)では、経験年数増加とともにパフォーマンス増加し、その後ピーク、そして減少する(concave relationship)が報告。
13/62では、相関なしとの報告。
1つではある特定のアウトカムは経験年数とともに増加するものがあり、他は相関ないという報告であった。
1つは、すべてのアウトカムですべて経験年数とともに増加するという報告であった。
分析がほとんどの客観的なアウトカム測定に用いた研究に限定しており、結論は変わらない。
【限界】医師臨床経験という用語検索にて、検索漏れの可能性がある
【結論】臨床経験が長くなった医師は質の低いケア供給するリスクがある。
故にこれらの医師は質向上のための介入が必要。



・一致して、知識量は若いほど多い
http://www.annals.org/cgi/content/full/142/4/260/T1

・診断・検診・予防医学へのスタンダードへの遵守性
:部分的もしくはほぼ一致して、若いほど遵守性高い
http://www.annals.org/cgi/content/full/142/4/260/T2

・治療スタンダードへの遵守性
:一致して若いほど良好か、もしくは上に凸型(手術:14年後減少)
http://www.annals.org/cgi/content/full/142/4/260/T3

・アウトカムとの関係
:部分的ーほぼ一致して若いほど良好か、無影響
・プライマリ・ケアや喘息治療は年数と無関係、手術・心筋梗塞などは若いほど良好
http://www.annals.org/cgi/content/full/142/4/260/T4
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外科系やcriticalな分野は、若い医者の方がアウトカムが良好ということは重要と思われ、
経験年数を積み重ねた場合、よりadherenceをよくするよう、生涯教育が重要とのこと

by internalmedicine | 2005-03-29 16:05 | 医療一般  

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