医療費関連3題・・・やすけりゃいい?、そう簡単な問題ではない

医療費関連3題

1)心肺ポンプを用いない冠動脈手術と通常の手術は同等の治療成績、なら安いほうがよい?

2)老人降圧剤治療をガイドラインに従えば米国では年間12億ドル安くなる。

3)高脂血症治療薬は使うべき人ほど使われていないという矛盾

治療を考えるとき、治療費を考えることが昨今急務となっておりますが、いろいろ矛盾も多いようです。ポンプを用いない手術なんてかなりの技量が必要ですし、術者の技量にもとづいた報酬制度ではありません。それにやればやるほどうまくなるというので、一医師に集約する自体が懸念されます。となると、結果的にはだれでも手術がうけられなくなる・・・?
2)降圧剤という面では安くなりますが、変な治療のしかたをすると、耐糖能異常、こう尿酸などを生じますので、真に安くなったかは・・・・?
3)の矛盾もかなり意味が深いような気もします。通常診療の老人医療費をある程度やすくしとかないと・・・高くつきます。きっと。


1)心肺ポンプを用いない冠動脈手術と通常の手術は同等の治療成績、なら安いほうがよい?
Off-Pump vs Conventional Coronary Artery Bypass Grafting: Early and 1-Year Graft Patency, Cost, and Quality-of-Life Outcomes
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/291/15/1841
JAMA. 2004;291:1841-1849.
心肺バイパスを用いる通常のCABG(冠動脈バイパス)と用いないOPCAB(ポンプを用いない冠動脈バイパス)の比較
三〇日後、一年後とも、OPCABも通常のCABGも同等のgraft patency。
死亡・卒中、心筋梗塞、狭心症、再インターベンションは三〇日、一年とも同等。
health-related quality of lifeも有意差無し。
患者一人あたり平均総入院コスト、OPCABでは$2272安く、一年で$1955安い。

治療成績が一緒なら安い方がよい



2)老人降圧剤治療をガイドラインに従えば米国では年間12億ドル安くなる。
Economic Implications of Evidence-Based Prescribing for Hypertension
Can Better Care Cost Less?
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/291/15/1850
JAMA. 2004;291:1850-1856.
ガイドラインに従うことは年間国家的に老人高血圧患者の処方治療コスト12億ドル節約になる。



3)高脂血症治療薬は使うべき人ほど使われていないという矛盾
Lipid-Lowering Therapy With Statins in High-Risk Elderly Patients
The Treatment-Risk Paradox
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/291/15/1864
JAMA. 2004;291:1864-1870
39677名の66歳以上心血管障害、糖尿病の既往をもつ患者で、後顧的コホート研究
二次予防のためのスタチン処方コホート研究で75617名(19.1%)しか処方されていなかった。66-74歳患者で、スタチン処方補正可能性はそれぞれ27.7%、26.7%、23.4%(低、中間、高いリスクグループ)。
スタチン処方尤度は年齢が一年増加し、三年死亡率が1%増加する毎に、6.4%低下
年齢も相加的にスタチン処方のベースラインリスクとともに影響を与えている。

結局、心血管リスク・死のリスクが高いほどスタチン処方が少ないという現実。最大の利益をもたらす高リスク群の処方活用が不十分であるという事実。

by internalmedicine | 2004-04-21 12:19 | 医療一般  

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