動脈硬化にCRP善玉に働く可能性 続編
2004年 04月 21日
CRPのupdateをみるとCRP悪者論ですが・・
http://www.jci.org/cgi/content/full/111/12/1805
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CRP and pathogenesis of atherosclerosis?
CRPは脂質と結合、特にlecithin (phosphatidylcholine)、血中リポ蛋白への結合は60年以上前から知られていたが、動脈硬化との関連、プラークの不安定性が炎症性プロセスであることから注目されるようになった。動脈硬化内の炎症による急性相刺激が始まり、その拡がり・重症度と関連。動脈硬化病変での、CRP値と間接的CRP測定により相異なる結果が出ていたが、慢性全身性、非血管性炎症が、一般的に動脈硬化前状態と考えらえ、急性炎症性プロセスが動脈血栓性イベントと関連することが知られるようになった。
CRP産生増加は動脈血栓性イベントを予測するのではないかと、しかしながらchlamydia pneumoniaやH.pyloriなどの血清学的エビデンスとの関連はないようだ。
高“CRP responder”なるものの存在の可能性もあり、遺伝的な・環境的な要因の説明になる可能性がある。
BMIとCRPとの正の相関があり、減量でCRPが減少する。インスリン抵抗・メタボリック症候群とCRP増加は関係があり、脂肪細胞のIL-6産生増加やCRPそのものの産生増加作用があるのでは・・
CRPはLDLだけに結合し、一部VLDLに結合するが、native CRPは酸化LDLに結合、動脈硬化病変にある"degraded LDL"と結合し、補体を活性化する。プラーク内で補体活性化し、炎症を生じさせる。細胞培養内でCRPをLDLに加えるとfoam cellを生じる。
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ここでは“damaged” LDLと表現しているようですが、酵素的リモデリングLDL(E-LDL)という表現もあるようで、CRPが結合するには本来のままの(native)LDLであるとだめなようで、ここが脂質代謝と炎症の重要な接点となるわけです。
おもしろい表現ですね。どうもCRPは逆に動脈硬化予防的に働く可能性もあるということで単純じゃないようです。
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Possible Protective Role for C-Reactive Protein in Atherogenesis
Circulation. 2004;109:1870-1876.
酵素的リモデリングLDL(E-LDL)はCRP依存性あるいはCRPと独立したpathwayで動脈硬化病変のactive componentであるかもしれないという以前の論文があった。
E-LDLはproteaseやcholestryl esteraseとともに2次処理。Trypsin, proteinase K, cathepsin H, plasmin処理も同様。機能試験は補体溶血活性、免疫分析がC3clevageやC3a、C4a、C5a、C5b-9の定量
閾値以上の時は、CRPと無関係にE-LDL処理では補体活性化が最後まで行われた。
閾値以下で、すべてのE-LDLはCRP依存的に補体活性化したが、terminal sequence以前に終了。naive LDLと酸化LDLはどんな状況下でも補体を活性化しない。
免疫組織学的分析によりCRP-依存補体活性化が効率的でないC5b-9を産生するという概念を確証した。
この辺をすこし説明
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CRPは修飾をうけたリポ蛋白、特に非エステル化コレステロールと結合
Binding of C-reactive protein to modified low-density-lipoprotein particles: identification of cholesterol as a novel ligand for C-reactive protein
Biochem. J. (2002) 367 (403–412)
49ページあたりにシェーマ
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http://ethesis.helsinki.fi/julkaisut/laa/kliin/vk/pentikainen/retentio.pdf
by internalmedicine | 2004-04-21 15:33 | 動脈硬化/循環器