MR配付資料:単なる前後比較の論文

医療機関にかかるのはなんらかの訴え、症状があるからであり、もっとも症状の悪いときにかかるのも多い。そういう疾患に対する治療効果があるかどうか考察するときに単に前後の比較であればなんでも効果有りということになる。

そういうことを無視して論文になっているものが未だに精神科領域では多いことに驚く。
本日あるSSRIの薬剤のプレゼンテーション材料としてもちだした論文がまさにそれであった。


MR配付資料:単なる前後比較の論文_a0007242_17433711.jpg



SF36をはかりましたよという、精神医学研究者の自慰的研究であり、
わたしども実地医家には何の役にも立たない論文なのだが、

それを わざわざ配布するとは・・・・・

この表題は“・・・・による効果”ではなく、“・・・投与した患者の前後のSF36の比較”が正しいはず・・・こんなのをアクセプトする雑誌は廃刊した方がよい

そもそも QOL測定は微妙なもので、医師と面談するだけでも変わる可能性があり、プラセボ投与群との比較でなければわからないはずだし、もし比較するにしても、エビデンスレベルは下がるが、バックグランドを同じくした症例対照をもうけるべきである。


こういう論文は紙の無駄遣いであり、地球にとっても有害な論文である。

by internalmedicine | 2005-04-13 17:53 | 医学  

<< 妊娠中の吐き気・嘔吐に対するシ... AHAステートメント:抗酸化ビ... >>