軽症持続は症状悪化時のコントローラー治療だけで十分?

喘息治療をガイドライン通りに導入しても結局自覚症状の軽い場合特に通院してくれない。結局、悪化時にコントローラーを指導し導入するけど、短期間だけ行うだけ、年毎・季節毎に繰り返しているだけ・・・じゃーそういう治療はほんとに間違いなのと検討したところ・・・なんとあんまりかわんない。

ただ、プライマリ・アウトカムが喘息死ではないし、救急外来受診でもなく、個人のコントロールがどうかというわけなので、明日からそれでいいやというわけにはいかない

でも、そうなると、全国の喘息専門医は経営的に大打撃・・・かな

Daily versus As-Needed Corticosteroids for Mild Persistent Asthma
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/352/15/1519
NEJM Volume 352:1519-1528 April 14, 2005 Number 15
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ガイドラインは軽症持続喘息への連日治療を推奨しているが、処方パターンをみるといわゆるコントローラー治療の間歇投与が多くなされているようである。
軽症持続喘息患者で、間欠的短期間コルチコステロイド治療の有効性(症状をベースにしたアクションプラン単独と、吸入budesonideあるいは経口zafirlukastを1年にわたって付加的に使用した場合の比較がなされた。

【方法】
二重盲検トライアル、225成人をランダム化
1)200μgBUD2回+プラセボ錠:73
2)20mgzafirlukast2回+プラセボ吸入:76
3)プラセボ錠+プラセボ吸入:76
プライマリ・アウトカム:早朝PEF(気管支拡張剤前後)、急性悪化頻度、喘息コントロール程度、無症状日数、QOL

3つの治療法とも朝のPEFを改善(7.1→8.3%); 約32L/分 P=0.90、急性悪化改善(P=.24)は同程度、budesonide群は年0.5週間の使用にすぎないが・・・

連日budesonide治療群は、間歇・連日zafirlukast治療群にくらべ気管支拡張剤使用前FEV1改善(P=.005)、気道過敏性(P<0.001)、喀痰中好酸球比率(P=0.007)、呼気中NO濃度(P=0.006)、喘息コントロールスコア(P<0.001)、無症状日数(P=0.03)で良好。しかし、気管支拡張剤後FEV1(P=0.29)、QOL(P=0.18)は有意差無し。

zafirlukast連日治療は間欠的治療と有意差無し。


結論としては、喘息の軽症持続型では、症状悪化時の間欠的吸入・経口ステロイドというのはありえる治療法であるかもしれない。この奇異な方法を推奨とするにはもうすこし研究が必要。
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by internalmedicine | 2005-04-16 11:21 | 呼吸器系  

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