マラソン競技の低ナトリウム血症 : のどが渇く前に飲む ~> のどが渇いたら飲むへ

先週の分で、マスコミでもふれているところがあったようです。諸般の事情により本日紹介・・

Hyponatremia among Runners in the Boston Marathon
NEJM Volume 352:1550-1556 April 14, 2005 Number 15
http://content.nejm.org/cgi/content/short/352/15/1550

【背景】
低ナトリウムは、マラソンランナーにとってレース関連死亡・生命危機状態として重要事項として現れてきた。マラソンランナーのコホートで低ナトリウム血症の頻度と特異的なリスク要因を同定しようとした研究

【方法】
2002ボストンマラソン参加者にレース前1・2日前参加してもらい、人口統計的情報と病歴訓練を検討する調査を行った。レース後、血中サンプルを提供してもらい、レース中の水分摂取・排尿に関する詳細なアンケートを施行した。レース全後の体重を測定。多変量解析で低ナトリウムに関わるリスク要因を検討

【結果】
766名の参加、488ランナー(64%)が利用可能な血液サンプルを最終ラインで得ることができた。
13%で低ナトリウム血症(1350mmol/L以下)、0.6%がcriticalな低ナトリウム血症(120 mmol/L以下)
単変量解析で、低ナトリウム血症は実質的な体重増加、レース中3L以上の水分摂取、マイル毎の水分摂取、レース4時間超、女性、低BMIがリスクであった。
多変量解析では、低ナトリウム血症は体重増加(OR 4.2 95%CI 2.2-8.2)、レース時間>4時間(3:30未満と比較)(OR 7.4 :95%CI 2.9-23.1)、BMI極端な数字

【結論】
結論としては、低ナトリウム血症はノンキャリアのマラソンランナーにとって少なからず重大な問題となっている。レース中の体重増加、レース時間、BMI極端例では低ナトリウム血症と相関する。女子、飲料の内容、抗炎症薬の治療には相関がない。


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昔:のどが渇いても飲むな
今:のどが乾かなくても飲むな

今後:乾いたら飲む




多くの団体は、アスリート競技注に固定的な、大量水分投与の推奨を改めつつある。USA Track and Field(USのトラック競技の国家的団体)は、水分補給にのどの乾きを用いるよう示唆している。
ガイドラインの変更は、“のどが渇くまえに”から“汗で水分が無くなった代わりに”ということが2003年ボストンマラソン直前になされた。
http://www.usatf.org/news/showRelease.asp?article=/news/releases/2003-04-19-2.xml

今までは、水分摂取やその有効性の強調は、妨げられることなく、疑問を差し込まれることがなかったが、水分補給に関する現在のパラダイムでは、マラソンのような長時間の運動中は“できるだけ多く”の水分をとるべきであるとするものである。IMMDA advisory statementはこの傾向に対して注意を促している。致命的な結果になる可能性ある、長時間化した運動の間にかなり大量の水分摂取となってしまう、特にスロー・ペースのレースで問題となる。
http://latinut.net/documentos/deporte/nutrientes/IMMDAhidrata-recom.pdf

Moreover, the
International Olympic Committee Medical Commissionは、体重増加をもたらすような水分制限を防ぐよう強調しており、この推奨は、2004年アテネ・オリンピックで広められた。
この春南アフリカで運動による低ナトリウム血症の国際コンセンサスカンファレンスが開かれ、ガイドラインに着手すると思われる。



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飲料水の成分には無関係というところがミソですなぁ・・・・・

by internalmedicine | 2005-04-20 17:40 | 医学  

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